劇場公開日 2021年8月27日

  • 予告編を見る

「美しいプライベートビーチが実は○○でしたというオチまでの怪現象がイチイチ微笑ましい、『ダークシティ』ミーツ『キャビン』みたいなニヤニヤ笑えるシャマラン印の不条理バカスリラー」オールド よねさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0美しいプライベートビーチが実は○○でしたというオチまでの怪現象がイチイチ微笑ましい、『ダークシティ』ミーツ『キャビン』みたいなニヤニヤ笑えるシャマラン印の不条理バカスリラー

2021年8月29日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

仲良し姉妹のマドックスとトレントは両親とともに穴場の観光地、アナミカ・リゾートにやってくる。リゾートの雰囲気は最高でドリンクバーとキャンディバーが常備されていて二人は大はしゃぎ。しかし彼らの両親は実は離婚寸前でありこれが家族で最後の旅行であることを子供達に内緒にしていた。翌朝リゾートのマネージャーに薦められてもう一組の家族と共にプライベートビーチに案内される。余りにも美しいビーチに二人は大興奮、早速遊び回るが、そこでマドックスは女性の水死体を発見してしまう。しかしそれはそのビーチに起こる惨劇の序章に過ぎなかった。

結論、これはオモロイ方でした。しかしそれはシャマラン監督の作家性を予め承知してるからそう思うだけ、要するに「また、それか!」ってやつです。『シックス・センス』以来ずっとやってる、Aと思ってましたが実はBでしたというオチ。ということでその意外を楽しむための予定調和をニヤニヤしながら眺めるのが正。毎度毎度登場するシャマラン本人は今回はプライベートビーチ行き送迎バスの運転手、その顔がアップになった瞬間に弾けるまた始まった感がハンパないです。次から次へと起こる怪現象はどれも全然怖くないのでホントバカだな、シャマランと顔が綻びますが、どんどんと成長する子供達がついにあることをやっちゃったところでシャマランメーターがレッドゾーンに到達、あとはとにかく最後までニヤニヤ。要するにどこにもオリジナリティがない『世にも奇妙な物語』を2時間かけてやってるだけです。

それでも満足度が高いのはガエル・ガルシア・ベルナルの重厚な演技とトーマシン・マッケンジーの素朴な美しさ、それに加えてビーチのゲストの一人である外科医チャールズを演じるルーファス・シーウェルの怪演。SFスリラーの名作『ダークシティ』の主人公マードックを演じたルーファスが物凄く神妙な顔で「マーロン・ブランドとジャック・ニコルソンが共演した映画のタイトルって何だっけ?」ってしつこく訊くシーンが放つ狂気は最高に美しいです。というか、結局シャマランがやりたかったのって『ダークシティ』ミーツ『キャビン』だったってことですね、ご馳走様でした。

予告にあったバカっぽいセリフは本編にありませんでした。流石にカットされたんでしょうね、余りにもバカっぽいので。

よね