「どのジャンルとして割り切るか次第」オールド Masuzohさんの映画レビュー(感想・評価)
どのジャンルとして割り切るか次第
M・ナイト・シャマラン
インド系アメリカ人として1999年のシックスセンス
2000年のアンブレイカブルなど生死を扱った
奇妙な雰囲気の作風で知られる監督
最近はあんまり名前を聞いてなかったかな?
個人的には魅力的な舞台設定や
前半の盛り上がりに対して
後半が今ひとつ尻すぼみな作品が多い印象
話の設定やディティールは結構いい加減で
ホラーとして観るならまあいいやって感じですが
サスペンスとか謎解きと言われると
物足りない感じがいつもする監督です
勢い任せというか
で今作
豪華リゾートにやってきた
ある問題を抱えた夫婦と姉弟
支配人風の男に誘われて向かった
プライベートビーチは様々な人々がいましたが
そのビーチには特殊な鉱物の影響で
細胞の老化が早く一日で50年経ってしまう
とんでもない場所なのでした
逃げだそうとしても気絶してビーチに
戻ってきてしまうゲームっぽい仕様
6歳の弟と11歳の姉も見る見る成長していきます
他のメンバーも
妄想が止まらない統合失調症持ちの外科医
(たぶん)骨粗鬆症の妻と娘
外科医の母
看護師の男
てんかん持ちの妻
鼻血が止まらない(凝固しない)ラッパーの男
など様々ですが共通しているのは
何らかの疾患を持った者ばかり
冒頭からいる夫婦も妻に腫瘍があり
離婚するために最後の思い出にと
リゾートに来たことが徐々に明かされます
そして…山の上からは明らかに
監視している者がいます
早急な老化によりみるみるその
ビーチにいる者たちが倒れていきます
まず既に高齢だった外科医の母が老衰で死にます
屋外なのに密室かのような空間設定ですが
妻の腫瘍もみるみる大きくなり
外科医が摘出作業をその場で行います
妻は気絶していますが麻酔もなにも使わず
ええっ!という感じで切って開けると
胆石みたいに腫瘍が出てきて妻は助かって
しまいます
ここでもうああやっぱこの監督の映画だと
わかるテキトーなディティールが見受けられます
メンバーに医療関係者が妙に多いことで
医療的な話が関わってくるのですが
テキトーさとのバランスは悪い感じです
医療職の人は色々首をかしげることでしょう
そのへんのディティールをまあホラーだし
と割り切れればまだいいんでしょうけど
結局このビーチの特性はとある製薬会社の
長期的な治験に利用されていたのです
なにせ一日で50年ですから様々な疾患の
効能を調べるのには最適なわけです
…ただそう考えると50年で一度しか
服用しない薬ってちょっとありえない
気がしてきてしまいます
こういうとこなんですよ
それに製薬会社の陰謀ってのもまあ
ありきたりなものです
某ゲームみたく
ヘリで去っていく最後も一緒じゃねえかと
吹きました
経過と共に姿形が見る見る変わっていく
様は映画を観ている間特有の時間の進みを
感じられるのですが全体的にはなんかもっと
面白く出来なかったのかなと感じるところ
また精神疾患の患者を倒すべき脅威として
扱ってしまってるのもどうかと思う
確かに頭のイカれた奴が主人公に
襲いかかってくる映画はいくらでも
ありますが精神疾患の名前までは
明示してこなかったはずです
今作はハッキリ言っちゃってて
あれこれまずいんじゃないのと
思ってしまいました
まあそのへんも
ホラーだ映画ならなんでもありで
いいんでしょうが
妙に謎解きサスペンス風味を盛り込んでいる
せいで捉え方がブレブレな感じがする
あいかわらずのシャマラン作品でした