「老い欠ける」オールド ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
老い欠ける
シャマラン監督作品は劇場では初鑑賞です。冒頭いきなりシャマランからのメッセージから始まりますが、映画館へただいまのメッセージはジーンと響きました。
物語の始まりは少し亀裂のできた夫婦と、それを察する2人の子供を映しながらスタートします。
家族が特に理由もなく特別なプライベートビーチへと誘われて、ホイホイついていきますが、ここで行ったのが運の尽き。悪夢が始まってしまいます。シャマランが普通に運転手として登場しますが、そんな運転手がぶっきらぼうにビーチに数組の家族を置いていきますが、そこから恐怖は連鎖していきます。
手始めにラッパーの男の彼女が死に、次にショックでお婆ちゃんが死に、犬も死ぬ、という謎の死が連続で起きていきます。ここの死の法則も侵攻の早い病気、老人、寿命の短い動物か早めに死んでしまいます。ここで時間の流れが異常に早い事への納得がいきます。
ここでの時間の経過の仕方も見事で、自分が老いることを信じられない人は、ぐちゃぐちゃになって死んでいき、優秀な人物は割と呆気なく死んでいく、無邪気な心を持つ子供は視野が広く、順調に生き延びていく。他にも受精のスピードが異常に早く、子供も高速で生まれ、時間の経過に耐えられず死んでしまうというものも妙に生々しくて良かったです。
子供たちと親との別れもあっという間に描かれていくので、とても残酷です。数時間前まで普通に話していた肉親がコロッと死んでしまう、現在のコロナ禍にも合わさっているように見えました。
ただ、オチの付け方は割と微妙でした。病気を克服するための薬を作るための実験台にするという設定は面白いですが、ビーチでやる必然性は感じられませんし、割とすぐにバレそうな計画だなと思ってしまいました。解決の仕方も直感でいくのもうーんって感じです。惜しい…
それでも開放的なはずなのに密閉されている様な空間で繰り広げられる精神面での勝負はとても面白かったです。シャマランの次回作にも期待大です。
鑑賞日 8/27
鑑賞時間 16:20〜18:20
座席 G-7