「さて、あなたならどうしますか?」すべてうまくいきますように グレシャムの法則さんの映画レビュー(感想・評価)
さて、あなたならどうしますか?
世界には自殺幇助を認める国が10ヵ国以上ある。
ネットで調べたらそう書いてありました。
心臓移植を海外で受けることができるように(億単位の高額ではありますが)、日本人でもそれらの国で法的にクリアできれば、認められるのでしょうか。
でも、移送費や色々な準備の手間ひまを考えると、極めてハードルは高い。
いや、この映画でそういうことを考えるのはお門違いか。
人権という概念や医療技術が現代ほど発達していない時代は(先進国ですら、二つの世界大戦前は、大半の人が栄養不足で、肥満や成人病になるなんてかなり限定的な現象だったはずです)、カロリーを確保(食糧の調達)するのも困難で今安楽死を望むような状態の人は、たぶん放っておかれたし、どれほど心身の痛みを抱えていようが、安楽死を望むかどうかなんて誰からも関心を持たれないまま、そう長くは生きられなかった。
生きる権利が、基本的人権のひとつならば、死ぬ権利だって同様に認められるのが、筋ではないか。
という論理立ては、一見真っ当なように見えるが、生きることは極めて自発的な行為であるのに対し、自殺幇助は〝殺してあげる〟〝殺してもらう〟ことであり、極めて他者からの能動的行為となる。当然、能動的行為には、責任や妥当性や社会的要請(世間的に認知されること)の有無などの検証が必要だが、そこに殺意や犯罪的な意図の介在が可能であることが、問題を複雑にしている。
『金の国 水の国』のように、人間の資質の基本がほとんど善意で成り立っているのなら、法的解釈としてはそれほど難しくはないと思うのだが(手を下すことへの罪悪感や心のケアについては、死刑執行に携わる方などにお聞きしながら整理する必要はあると思います)、残念ながら現実は違います。
正解のない堂々巡りの問題ではありますが、
さて、あなたが当事者になったらどうしますか?
ということを突きつけられる映画です。
同時に、ソフィー・マルソーの成熟した大人の魅力だけでも、十分に見応えのある素晴らしい作品でもあります。
今晩は
ご無沙汰です。
本日、ズルして今作ともう一作を大嫌いな電車に乗って鑑賞しました。
私は、法制度が整ったうえでの本人の意志をキチンと確認した上での安楽死は必要だと思っています。(物凄く怒られそうですが。)
理由は、ネットでの安楽死を呼びかけつつ、自分の嗜好により大量虐殺を行った男の行為を見てからと、古来からある姥捨て山伝統が現代日本でも横行しているからです。
重いテーマではありますが、仕事の一環で(キツカッタです)ホスピスに行った際に、正に行ける屍と化した方々の親族の方々の血を吐くような言葉を聞いたことが切っ掛けです。
では、私がそういう状況になった際に、自分はどう判断するかは、自信がありません。
今作を観て改めて思ったのは、欧州は乾性の感覚の方が多く、日本は湿性の感覚を持った方が多いのかなとは思いました。では。あ、返信は不要ですよ。
グレシャムさん、いつも力強いコメントありがとうございます。本も読みますがある特定の著者に関わるのが好きなので今はぽわーんです。今は映画にありがとうです。いつもありがとう、そしてこれからもよろしいお願いいたします
日本でも安楽死を望む方がいることを最近知りました。昨年末、1周忌を迎えた母も亡くなる前に延命措置をしない書類に家族である父がサインしました。映画の中のお父さんも自分らしくいることが出来た温かい見送りだったと思います★