「パリの空の下、悩める現代人の姿が交錯する」パリ13区 あささんの映画レビュー(感想・評価)
パリの空の下、悩める現代人の姿が交錯する
パリ13区に暮らす若者たち(といっても20代から30代)が抱える苦悩や葛藤をモノクロ映像で描く群像劇。主に、3人のストーリーが描かれているため、くるくる変わるシーンが観るものを退屈させずに引き込んでゆく脚本が秀逸。
台湾系フランス人のエミリー、アフリカ系フランス人の高校教師のカミーユ(モテモテ)、
大学に復学するためにパリにやってきた32歳のノラを中心として織りなすストーリーは、多人種、LGBTQ、アルツハイマー、SNSの中傷、マッチングアプリなどというまさに時代を象徴するテーマが点在している。
ノラは金髪のウィッグをつけて学生が企画するパーティに出かけたら元ポルノスターのアンバー・スィート(ウェブカメラを使ったセックスワーカー)だと勘違いされて泣く泣く大学を辞めることに… 。ある日勇気を出して自分と似ているアンバーと話すため、ノラは課金してチャットルームへ。二人の心の距離が、少しずつ縮まっていくところが素敵だった。
舞台はパリだけど、どこの国の若者たちも多かれ少なかれ彼たちと同じような孤独や焦燥感を抱え、愛を求めて生きているのだろう。
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