「B級映画だと思ってナメてたけど最高!」偽りの隣人 ある諜報員の告白 リブレさんの映画レビュー(感想・評価)
B級映画だと思ってナメてたけど最高!
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「タクシー運転手」「1987」などに続いて、韓国が軍事政権下の時代が舞台。ですがこれまでの作品のように、軍事政権に抵抗して民主化を勝ち取った姿をストレートに見せるのではなく、軍事政権側の人物を主人公にしており、話はより複雑です。主人公は民主活動家の大統領候補の隣に住み盗聴していますが、次第に心をほだされていく感じは「レッドファミリー」を思い出しました。
また、大統領候補を知るうちに、自分の中の正義と職務のはざまで揺れ動く姿は「トガニ」っぽいなと思いました。
映画全体の雰囲気として、たぶん意図的だと思いますが、安っぽいシンセの音楽と、主人公をはじめとしたなんとも垢抜けない役者たち(娘は別でとにかく美人)がベタな笑いする感じがなんとも野暮ったいです。でも野暮ったい笑いのシーンがあったかと思うと不意に感動させられたりもするそのバランスが絶妙でした。
特に、終盤の暗殺を阻止する方法がずっこけますが、プロテストとは真面目な顔をして抵抗するだけではなく、こういうナンセンスな笑いにズラす方法もあるのだと妙に感動してしまいました。それはこの作品が重いテーマでありながら笑いを交えて作られた姿勢と繋がると思います。
ラストシーンも、前半からの水虫や歌謡曲といったキーワードが見事に利いてきて実に巧いと思いました。
B級映画っぽい感じだと思ってナメてました。
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