「途中までは傑作」ノイズ Masuzohさんの映画レビュー(感想・評価)
途中までは傑作
藤原竜也
松山ケンイチ
神木隆之介
日本を代表する若手俳優陣
今後も日本映画を支えて
いくことでしょう
・・しかし近作のこの人たちの
出演映画にまるでいい印象がなく
今作でだめならもうパスして
いこうかなと思っておりました
・・でどうだったかというと
この映画は良かったです
各々のキャラクターが
ぶつかり合うことで
上手く分散化されてる感じでした
犯人を事前に明かす
倒徐物としては粗はあるものの
マズマズ見ごたえのある
映画だったと思います
中部地方の過疎地ながら
平和な島である猪狩島
(ロケ地は篠島のようです)
ある若者を乗せた老人が運転する軽が
港から入ってきて「いずみ農園」
を訪ねる途中でなんとその若者は
老人を後ろから絞め殺して車を放置し
島をぶらぶらし始める
穏やかでないところから
始まります
その農園を経営するのは
島の若者「泉圭太」
両親を事故で亡くしつつ
若いながら黒いイチジクを生産し
島おこしには政府の助成金も
交付されることがほぼ決定
今や島の命運をも握る存在
幼馴染の妻子に恵まれ
人手が足りないながら親友で
猟師の「田辺純」も農園を
手伝ってくれて希望に満ちた
日々を送っています
そしてこの島出身ながら
警官として着任する守屋真一郎
彼は前任の岡崎からは
「島が血を流すならお前が
瘡蓋(かさぶた)になれ」と
法規にとらわれない島の為になる
執り成しを覚えろと
最後にアドバイスされます
これが悲劇の始まりとも知らず
冒頭の男小御坂は島をフラフラ
しながら庭でままごとをしている
圭太の娘恵里奈を見て性的興奮を
しています
その後帰ってきた圭太は恵里奈が
いなくなったことに気が付き
純と真一郎に連絡して
島中を探し農園に行くと
恵里奈の自転車に乗りわいせつな
動画を見ていました
えりなに何をしたか問い詰め
圭太ともみ合いになると小御坂は
コンクリートに頭を打って
アッサリ死んでしまいます
その後恵里奈は妻が近所の家に
言ってたと見つけてきました
3人はこの死体をどうするか
悩みますがこんな危険な奴を
探しにくる奴はいないから
隠そうと瘡蓋になれと
言われた真一郎が言い出します
純と圭太も同意しひとまず
死体は純の家の納屋の
猪を保管する冷凍庫に隠す
事にします
その現場を純の家の近所の
認知症のじいさん庄吉に
見られますが猪だとごまかします
場面は変わり最初に殺された
じいさんの家に変わります
じいさんは犯罪者の更生や
生活支援をするボランティア
だったようで現場を捜索する刑事
畠山はテーブルの上に残された
いずみ農園の切り抜きを見つけます
畠山はその猪狩島を訪ね
圭太らにじいさんと小御坂に
ついて尋ねますが当然知らないと
言います
畠山はあまりに恐怖を感じていない
二人にコナンばりに違和感を
感じますがするとそこで
殺されたじいさんが発見され
小御坂が島に潜伏している可能性
が事実となり県警もやって来た
事で圭太らは焦ることになります
するとその工作をあれこれやっていた
おかげで圭太は交付金の件で島に
やってきた役人と面会する約束を
すっぽかしてしまい町長は激怒
圭太を連れてこれなかった
秘書に保険金かけて死ねとまで
なじります
町長も普段は大人しそうですが
5億円の交付金に完全に目がくらみ
庄吉に何かやってると聞きつけ
純らが死体を囲んでいる場に
押しかけてきます
で町長はまた「島を守るために」
信一郎に罪を被れとか
純はこういう時くらい役に立て
しまいに圭太にも農園は引き継ぐから
島を出ろとかムチャクチャ言い始めます
そして町長はその部屋を出ていこうと
したところでナタを持った庄吉に
襲われてスタンガンで応戦し
もみ合いになりますが
純がスコップで町長の頭を殴り
庄吉も心臓発作で死んでしまいます
死体は3人になってしまいました
・・この映画この町長乱入までは
傑作だと思って見てましたが
この急展開で印象が悪くなりました
圭太らが小御坂と会った・殺した・
処理しようとしてるという
折り入った部分を認知症の庄吉に
聞いたとパッと片付けてるんですが
随分乱暴
丁寧に描写してきた物が台無し
まあ漫画のエピソードを凝縮せざるを
得ないんでしょうけどちょっとね
庄吉がナタもって来る意味も
あんまりわかりません
認知症では説明できてない
そもそも小御坂も性犯罪者と
言うよりは知的障碍者みたいな
演じ方なんですよね(漫画版では
もう少し知能犯的みたいです)
この映画ここまでは
名作のムードすら感じるんですが
町長と庄吉のもみ合いから
一気にどっちらけです
だんだんこの映画
キャラ付けのいい加減さが
バレてきます
まあいいや
で3人の死体を前にまたどうするか
町長がいなくなれば大騒ぎで
圭太は島を守るためにお協力して
くださいと庄吉の家族に土下座して
頼むとかかりつけの先生も
心不全で片付けてくれるはずだ
と乗ってくれました
町長は漁船から落ちて死んだことに
するために秘書の所へも
事情を説明し協力を仰ぐと
「圭太君がやってくれなかったら
私が殺していた」と逆に感謝され
全面協力
翌日町長の死体は手はず通り
溺死体で発見
小御坂がやったように警察は判断
しますが畠山は偽装だと疑います
この畠山の疑いっぷりもあんまり
上手くない気がしました
この映画の展開はいわゆる
コロンボや古畑のような犯人を
最初に明かして追い詰めさせる
「倒叙物」と言われるものですが
あまりに畠山が最初から事実を
知っているかのように的確に
動き過ぎな気がしました
さっきの町長と同じです
コロンボはちゃんと捜査を進めながら
堀を埋めていくし
古畑はミステリー然と割り切って
最初から犯人を知ってるんじゃ
ないかってのを半ばネタ化して
第四幕を使ったりするんですが
そのへんが下手でしたね
スリルがなくなってしまいます
それはおいといて
畠山は聞き込みを開始しますが
だんだん島も「協力者」が増えてきて
いますから警察を疎ましがる態度に
変わってきて畠山はイラつき
消えゆく島の住民はこうだと
吐き捨てて帰ろうとすると
真一郎がつい「小御坂の死体が
せめて見つかれば住民も安心する」
と畠山に言ってしまうと
「なぜ死んでいると思う」と
また怪しまれてしまいます
真一郎はもう嘘をつく自信がない
と純らに漏らします
でも新人警官なんだから
そりゃそうです
それを察知した純は
「真一郎に黙って」
死体を農園に埋めようと
圭太に提案します
最初にもう調べているから安全だと
その後漁船の件で畠山に取り調べを
受けた秘書が「今晩しし鍋をどうですか」
と持ち掛け「最近とれた猪か?」と
畠山が聞くと「車に轢かれた猪です」
「今は禁猟期なので」と言ってしまうと
畠山は純の家の冷凍庫の中だと勘づき
真一郎に連絡して向かわせます
そして押し込んで冷凍庫を開けると・・
猪の死体でした
畠山は圭太に直接もう何を隠している
と直接問い詰めますがそこで
銃声が鳴り響きます
それは…
真一郎が駐在所で
小御坂と町長殺害の罪をかぶり
拳銃自殺したのでした
純が死体を移したことを
告げていればこうはならなかった
かも知れませんが
真一郎がもう嘘をつき続ける
事が限界だった事に純が
配慮してしまったのです
真一郎が残した動画を確認した
畠山は真一郎が3人でやったと
自供しているとカマをかけますが
圭太と真一郎はひっかかりません
皮肉にもそれが3人の絆だから
でしょうか
徐々に島民は真一郎の自殺に
騒然とし警察へ怒りが
矛先に向き始めた頃
町長を発信元としたメールが
島民一斉に送信されます
そこには
"遺体はイチジクの下
犯人は泉圭太"
とハッキリ記されていました
誰が?
徹底的に掘り返される農園
若木のビニールハウスの中で
追い詰められた圭太と純
誰のしわざだと疑心暗鬼に
なりますが圭太はついに観念
圭太が自供して事件は解決・・
・・してしまっていいのかな?
実際町長撲殺したの純だし
純が何もなくそのまま生活
してるのはすっごい違和感が
あります
でも純は昔から思っていた
圭太の妻も島民からの期待も
みんな一人でもっていってしまった
そこへきて純は何も期待もされず
何もない
メールを送ったのはもう誰か
わかりますね
圭太が純が町長を撲殺したと
自供すればそれで終わってしまう
立場ですが圭太は純の気持ちを
昔からわかっていたようです
最後の恵里奈の日記は何か
深く意味するものが
あるのでしょうか
でそのまま終わっていくのですが
それでいいんでしょうか?
てっきり純は最後猪に襲われて
崖から落ちて死ぬとか言う末路が
あるのかと思ってたら何もなし
良かれと思ってする事が
更なる悪夢を招く事もあるが
良かれの奥底にある欲に
勝てないという無常さが
言いたい作品なら
純も最後はそれなりの贖罪を
しなければいけないんじゃ
ないかなと
圭太もそんな長い刑期に
ならないでしょうし
戻ってきたときにどうなるんだろう
と考えてしまいます
観てすぐは先入観が良くなかった
せいもあり割といい印象だった
のですがこうして書き起こして
みるとあんまりいい感想じゃ
なくなってますね
自分も判断がつきかねています
ので一番つけたくない
中庸な2.5点としました