「外国人監督の視点で捉えた「小野田さん」」ONODA 一万夜を越えて しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
外国人監督の視点で捉えた「小野田さん」
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Netflixで鑑賞。
小野田さんについては、横井庄一さんと並んで昔のニュースとして親から聞いたことがあった程度です。
本作の存在を知り、戦争は終わっているのに戦い続けた理由が分かるかもしれないと観ることにしました。
キャストに実力派俳優が揃えられており、リアリティーの求められる映像に説得力を齎していました。若い小野田さんを演じた遠藤雄弥の、狂気を感じさせる演技が鮮烈でしたし、中年期の津田寛治の、旅行者(仲野太賀)との出会いからの心境の変化、元上官(イッセー尾形)から任務終了命令を受領した際の憑き物が落ちたような表情が素晴らしかったです。
陸軍中野学校二俣分校時代から始まり、戦後もゲリラ活動を続けていた小野田さんについて丁寧に描いていました。洗脳の恐ろしさを感じると共に、ほぼ外界から遮断され少ない情報を陰謀論的に組み立てる姿には、現代のSNS社会を生きる我我にも通じるものを見出すことが出来、戦慄させられました。
驚いたのは、30年の間に小野田さんの働いた行為(殺人や窃盗など)を包み隠さず描写していたことです。確かにジャングルでゲリラ活動を続けるにはそうせざるを得ないよなと、観るまで思い至らなかったことを突きつけられた感じでした。
もし日本人によって本作がつくられていたとしたら、そのような部分は果たして描かれただろうかと考えました。外国人監督ならではの視点だったからこその描写な気がします。
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