「三時間の上映時間 小野田さんの一万夜」ONODA 一万夜を越えて 大吉さんの映画レビュー(感想・評価)
三時間の上映時間 小野田さんの一万夜
予備知識のない者にとって不親切とも言えるほど説明がない。いや、余分な情報は必要ないのだろう。
フランス人の監督によって作られた作品、この作品を観る大多数の観客は小野田さんのこと、帰国してからブラジルへ渡ったこと、小野田塾を主宰していたこと、陸軍中野学校のことなど知らないであろう。
私たちもただこの映画の中で描かれている小野田少尉と向き合わなくてはならないのだ。
ジャングルから出てきてヘリへ乗り込み、ルバング島の地から足を離すまで、ヘリが飛び立ってからも、ナレーションも字幕も何も入らない。ただ、小野田少尉の真っ直ぐに伸ばした背筋と眼だけがすべてを語っている。
(プラトーンの饒舌なラストを思い出した、今作では何も語らず観る者に委ねている。津田寛治の眼が勝っている)
テレビドラマなどで見る軽いイメージがあったので、津田寛治が小野田さん?と思っていたが、津田寛治は正しく小野田少尉だった。俳優って凄いな。
三時間の上映時間は長いようでも、小野田さんの一万夜を想像するにはこれより短くはならないだろう。
ミナマタと共に日本人は必見すべき作品だと思う。
今晩は。
”ミナマタと共に日本人は必見すべき作品だと思う。”
全く、同感です。
小野田さんの事は、自ら記した本と、僅かな記憶しかありませんでしたが、今作は仰る通り津田さんの”凄い眼”の熱演もあり、3時間は体感2時間でした。(私の変な性癖として、優れた映画は長さを感じません。逆に皆さんそうでしょうが、ツマラナイ映画は2時間でも3時間に感じます。)
あと、現地人を殺害するシーンは、若きフランスの監督でないと描けないだろうなとも思いました。日本の負の近代史を見事に描いた作品だと思いました。では。