劇場公開日 2024年1月26日

「およそ映画と呼べる仕上がりではない、B級もしくはC級のなにか・・・」機動戦士ガンダムSEED FREEDOM 白金卿さんの映画レビュー(感想・評価)

0.5およそ映画と呼べる仕上がりではない、B級もしくはC級のなにか・・・

2024年2月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

テレビアニメ放映当時、子供ながら直前のターンAガンダムを黒歴史扱い(無かったこと)にしたかのようなこのシリーズを見た時はなかなか受け入れ難かった。しかし、それはガンダムシリーズとして見たのが悪かったのかもしれないし、そもそも子供の時は見方がかなり偏っている。そう思って、大人になって改めて作品として客観的かつ真剣に見た。

結果、あまりにもひどすぎて褒めれるところがない。完全に騙された。

料理で例えると、料理でないものを出された感じ。
皿の上にのったガンプラの上に大量の粉砂糖とチョコにニンニクましまし、そこにタピオカを添えたものを出せば、斬新といえば斬新でインスタ映えして話題の種になるだろう。

客観的に、どのような角度で見ても及第点を与えることができず、とても新規の客層にはお勧めできない。

エロとグロい描写もあるので、家族、お子さんと一緒に観にいくこともとてもお勧めしない。

その割には愛がすべてかのように語るので、離婚した方、もとより独身の方々は少々肩身が狭くなるだろう。

ギャグの展開もシリアスさを引き立てるわけでもなく唐突にお祭り的に展開され、むしろ元からそういうノリでしたよといった感じで開き直っているので(そういう作品だったっけ…?)、中学生〜大学生くらいの方が見るのが最適かもしれない。しかし、今までのストーリーを知らないと楽しめる要素は極端に少なくなるだろうというくらい、ファンサービス中心の内容だ。テレビシリーズの単なる続きという感じで、アニメを3期から見る雰囲気だ。

とはいえファンサービスも雑で、性格、能力は都合よく改変されているので、一部だいぶ雰囲気が変わっている。ほかも一枚でもキャラクターを出せばいいだろうという感じに出てくる。

声優さんの演技は頑張っていると感じたが、それでもうまく製作陣の意図が伝わっている感じがせず、どのような心情なのか読み取れきれなかったのではないかと思う箇所も多い。(ただ、カガリの声優は変更して良くなった気はする。ファンからは怒られるが。)
セリフが唐突。正しそうなこと言っているがなんの伏線もないし、押し付けである。幼稚である。キャラが不自然。
そもそも、過去の歴代ガンダムのセリフも無理やり持ってきているので、違和感を覚えるものばかりである。こんな安直なことで過去のガンダムファンが喜ぶと思ってやっているのだろうか。デスティニーの頃から同じではあるが。

作画に関しては言及しすぎるとアニメーターさんが過労死してしまう可能性があるのであまり気にしないようにしているが、肝心のアニメーション(動画)に関しては本当に何が起こっているかわからない。映画が終わった後に一緒に観た友人と感想を語り合ったが、戦闘シーンの解釈が合わない。すごい早い動きというのではなく、コマ割りが悪い。単純に下手という印象。手数も少ないので、だんだん既視感覚えて飽きてくる。
非戦闘シーンも、顔面どアップの描写がやたらと多い、毎回文字で場所を示す、毎回ヒロインのセリフでいちいち心動くキャラ等。濃い唇も一回気になると集中できなくなる。

戦闘シーンもなんの捻りもない、初代ガンダム以前のスーパーロボットたちが名前叫んで技を繰り出していた時代に逆戻り。ゲームっぽい。しかも言っていることとやっていることが一致せず、画力で説明する気がない。
大河原メカは確かにかっこいいが、若干ネタ切れ感もある。そもそも歴代ガンダムを模した容姿、武器(技?)ばっかなので、パッチワークでのデザインという感じで面白みがない。
もはや同じ時期にリバイバルでやっていたアクション映画じゃない千年女優のほんのワンシーンの戦闘の方がカメラワーク等よっぽど面白かった。

映画としても起承転結、伏線、迫力、緊迫感等が乏しく、大スクリーンでテレビアニメを見ているだけ。アニメ映画を作ったことがない素人が作ったものじゃないだろうかと感じる。そもそも映画館で映画を見たことないのではないのかと思うほど。

早い話、B級映画だ。嘘か悪ノリでしか褒めれない。だから、逆にニコニコ動画や酒を飲みながらウォッチパーティーで見るのはとても楽しいであろう。
スターウォーズやエヴァンゲリオンの時もそうだったが、最近のシリーズものは真剣に見るお客を舐めている商売が多く、レビューも当てにならずもはやトラウマだ。麻薬入りの腐ったトマトを貪る中毒集団にしか見えない。今時のアニメの映画ならこれでも許されるのだろうか。かつてのAKIRAや攻殻機動隊をみたいと感じる人の方が少数であろう。とりあえず監督はもちろん、プロデューサーの仲寿和という方も今回でしっかり名前を覚えた。

とはいえ、この世にはつまらない作品がないというのはもちろんその通りで、どんな作品も面白いと感じる人はいる。しかし、それでもこの作品に関してはふわっとした感想が中心であり、ここだという魅力に感じた部分を共有するのは難しそうだ。エヴァと同じく、監督お疲れみたいな意味のわからない、完結したことに喜ぶ感想も聞く。カップリング妄想の種になるかは自分には測定不能だ。

まさに宇宙世紀ガンダムの重力に縛られた地球連邦が見よう見まねで作ったもの(ついでに宇宙空間の描写もできていない)。宇宙に出ていく人が作った挑戦的な作品ではない。サンライズは株価が下がり続けているスクエニと同じ運命を辿るのだろうか。ある意味、このフラストレーションは閃光のハサウェイの世界をリアルで感じるし、ガンダムでこんな印象与えるならレコンキスタしたくなるし、はたまたF91のサナリィのような別のスタジオの方が水面下で力をつけている印象。

今はそれでも、ガンダムというものはまだ人を惹きつける魅力があるのだから、せめてその形が人型であり、夢と憧れがただ破壊のためだけの兵器でないことを願う。

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白金卿