「競馬の「夢」を描いた一本ともいえる。」ドリーム・ホース talkieさんの映画レビュー(感想・評価)
競馬の「夢」を描いた一本ともいえる。
「のめり込み」と問題がクローズアップされ勝ちなせいか、「ギャンブル」というと、日本ではあまり良い印象がないようですが、彼の地(イギリス)では、競馬は、貴族階級の趣味とか、娯楽というイメージなのかなぁと思いました。評論子は。
(作中のハワードは、競馬に関わる問題を過去に抱えていたようですが、のめり込みというよりは、投資として取り組んていた事業としての失敗のように見受けられました。評論子には。現に、ドリーム・アライアンスに対する賭けでも、アツくなってしまうと、つい、ゼロを書き足してしまうような性格の持ち主のようですから。)
動物の飼育ということでは、子供の頃から数々のコンテストでの優勝経験があったジャンのようですが、今回の競走馬のオーナーになるということは、それまでの動物の飼育とコンテスト出場とは、その性格がだいぶ違ったようです。それは、配当金か得られるということではなかったでしょうか。
むろん、それまでのコンテストでも優勝金の配当はあったかも知れませんが、規模的にも、その比ではなかったと思うのです。評論子は。
そして、そういう「夢」に向かって、慎ましやかに市井の生活を送っていたジャンの仲間たちが馬主組合のメンバーとして参画してくる…。もちろん、優勝賞金と言っても地方の無名レースでは知れているでしょうし、そしてもちろんその「実入り」から飼育を委託している厩舎に報酬を支払うのでしょうし、第一、馬主組合のメンバーで頭割りをすれば、そう大した金額にもならないような印象です。作中では。
それでも、本作のドリーム・アライアンス号は、文字通りにジャンたちの「夢の連合」となったことが、実話ものともいう本作からにじみ出てくる「温かさ」なのではないかと思いました。評論子は。本作を観て。
そういう「温かさ」を感じたということでは、同じくイギリス映画の「フル・モンティ」や『ブラス』や『天使の分け前』と同じような作品であったとも思います。
なお、ギャンブルの良い面だけをきれいにだけ描いているという指摘もありそうですが、実際、色眼鏡を外してみると、日本の競馬も、国民に健全な娯楽を提供することの他、「地方財政の改善を図るために」(競馬法第1条)…つまり競馬の収益金を地方自治体の財源に繰り入れるために、農林水産大臣の管理の下で実施されることになっていますし(娯楽が多様化した今でこそ赤字体質にはなってしまっていますけれども)評論子が住んでいる都道府県でも、かつては馬が走ることで、多くの人にたくさんの夢を売って、それで辺地に学校や病院をたくさん建ててくれたという実績もあります。
そんなことにまで思いの至った作品になりました。本作は、評論子には。
本作は、私が住んでいる街の地元有志による上映会で取り上げる作品ということで鑑賞した一本でした。
他のレビュアー諸氏が指摘するとおり、観終わって「元気がもらえる」一本でもありました。
やはり、佳作であったと思います。評論子も。