前科者のレビュー・感想・評価
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犯罪が生む負の感情の連鎖を断ち切りたいという思い
本作は漫画が原作なので、リアルじゃないと感じる所もあります。
保護司は無報酬で時間も不規則なので、弁護士や経営者などの自営業の男性のイメージです。バイト生活の若い女性がやるとは考えにくいです。それに、仮釈放中に車の運転をするとか、違法な取り調べには違和感がありました。
本作は最初、ひたすら人を信じるお人好しの保護司の話かと思いましたが、そんな簡単な事では無かったです。
犯罪は、直接の被害者やその家族だけでなく、周囲の人間にもドス黒い感情をもたらして、人生をも狂わせます。とばっちりで世間から非難されたり、自分の土地で犯罪が起きた事で、罪のない遺族に嫌味を言ったり。
真司は自分の中の醜い感情に気が付いてはいても、自分でもどうしようもないのかなと思いました。佳代はそういう気持ちをも呑み込んで生きて行こうと決意したのでしょう。
森田剛さんの演技を最初に観たのは、「ランチの女王」の竹内結子さんの元カレ役。V6のキラキラなど感じさせない怖さでした。「ハロー張りネズミ」の調査員役も良かったです。
有村架純さんはますます光ってます。この2人の演技をぜひ観てください。
保護司という仕事について。
若い女性が主人公なので、職業としての保護司というのもあるのかと思ったら、やっぱりボランティアなんですね。これは良くないと思います。ボランティアって奉仕活動ですが、必ずしも無償でなくてもいいはずです。災害の時や東京オリンピックでのボランティアの待遇が悪すぎると思いました。ヨーロッパのボランティアは有償だと聞きます。有能な人材を確保するためにも、彼らの好意に報いるためにも、少しでも対価を払うべきです。
いい作品でした
昨日観た「ノイズ」より数段よかった。娯楽映画としてはノイズも悪くはなく、カップルで観るにはいいかもしれないが、私は社会性のある本作の方が好みである。俳優さんのギャラを含めてこちらの方が低予算なのだろうが、浮ついた感じがなく、じっくり描いているように思った。場面として気になったのは、ピストルで撃たれて入院中の警官に暴力を加えて悪事を白状させるところで、流れから考えてもちょっとあり得ない感じはする。
演技では森田剛がうまく演じていると思った。この映画ではこの役どころが一番大事である。彼がいてこそ有村架純も活きる。脇役では石橋静河がいい。今後、彼女の演技に注目したい。リリー・フランキーは好きな役者だが、今回の役は彼である必要はなかったように思う。
惚れんなよ!
お金を払って見る価値ある作品
テレビドラマも見ていたのですが、期待以上に良く出来たサスペンス感動ドラマ。
脚本、出演者、音楽、全てが上手くはまって文句なし。岸善幸監督の想いがリアルに感じられた良心的な名作でした。
有村架純は相変わらず達者でしたが森田剛の役者としての存在感が素晴らしい。さらに脇を固める、若葉竜也、マキタスポーツ、石橋静河、宇野祥平、リリー・フランキー、適材適所でとても見ごたえがある作品。
テレビ続編で良くある甘い人間ドラマかと思いきやサイコサスペンス物としても一級品で最初から最後まで目が離せない強く訴える力のある映画。
更に主人公の正直に本音を説く姿が最後まで心に沁みました。
お金を払っても見る価値のある作品です。公開中に映画館でぜひご覧ください。
人を救う、人に寄り添う、人を許す、とは…
仕事柄、保護司の方と話をする機会がこれまで何度もありました。しかし、あえてその業務内容に深く立ち入らないようにしていたので、まさか無報酬でここまで献身的に仕事をされているとは知りませんでした。本作を鑑賞して初めてその仕事の崇高さ、携わる人々の優しさや良心に触れ、頭の下がる思いがしました。
事前情報で、本作の前日譚となるテレビドラマがあったことを知り、鑑賞前にアマプラで全6話を視聴しました。地味で物静かな展開ではありますが、見る者に訴えかけてくるものがあり、見応えのあるドラマでした。ドラマ未視聴でも本作は理解できますが、新米保護司として戸惑う阿川佳代、本作でも登場する斉藤みどりとの出会いと交流、コンビニ店長との関係性など、本作につながる部分も少なからず描かれているので、できれば先に視聴しておくといいと思います。
その劇場版となる本作では、保護観察中の受刑者が突然姿をくらまし、事件の容疑者として警察に追われる身となったことで、担当保護司・阿川佳代は苦悩します。また、捜査の進展とともに、テレビドラマ版では軽く触れられていただけの佳代の過去や保護司を志した理由もしだいに明らかになります。そのおかげで物語の奥行きが増し、劇場版らしい濃厚な仕上がりとなっています。前科者に真摯に向き合い、彼らの更生を願って奔走する阿川佳代の姿に、本当に胸を打たれます。
主演は有村架純さんで、渾身の演技が光ります。彼女の人柄が滲み出るような自然な演技と優しい眼差しが、観る者の共感と涙を誘います。この役は彼女にぴったりなハマり役なので、このシリーズをぜひ連ドラ化してほしいと思います。工藤誠役の森田剛さんは、芸能人オーラを封印した演技がすばらしかったです。やむにやまれず犯罪に巻き込まれていく様子が実に切なかったです。その弟・実を演じた若葉竜也さんも、知らない俳優さんでしたが、森田剛さんとの絆を感じさせる好演でした。脇を固める磯村勇斗くん、マキタスポーツさん、石橋静河さん、リリー・フランキーさん、木村多江さんら、どこをとっても隙がかなく、作品の完成度を高めていたと思います。
今回は、上映後に舞台挨拶ライブビューイングがあり、出演俳優陣のお話を聞くことができました。重苦しい内容の作品だけに、現場は常に緊張感に包まれていたようです。阿川佳代同様に、キャストもスタッフも一丸となって作品作りに真摯に向き合ったのではないかと思われます。中でも、有村架純さんの「人を救う、人に寄り添う、人を許す、ということを考え、自分と向き合ってくれる人が増えたら幸せです」という言葉が印象的でした。感じ方や捉え方は人それぞれですが、必ずこの作品から何かを感じ取れるのではないかと思います。自分も、人に寄り添うことが基本の仕事に就いているので、今一度気を引き締め直して仕事に向き合いたいと思いました。
悲しい話
保護司とは
保護司という存在は色んな物語で断片的には頭の中にあったものの、こんな大変なことがボランティアで行われているとは思いもしなかった。と、映画で観ると思いますが、実際は社会復帰のためとはいえ、犯罪を犯さず真面目に生きてても生活の苦しい人もたくさんいるから、前科者の更正には税金が回ってこないのも分かる気がする。
ストーリー展開もテンポよく、有村架純さん演じる保護司が、警察、弁護士、職場、保護観察対象者にもいやがられたり見下されたりする場面がほとんどなかったので、現実ではあり得ないのかもしれないけど、映画を観ていて嫌な気分にならずに、主人公の前向きな姿勢が好感が持てるので素晴らしい作品だと思った!
ちょっと不満なのが、劇中の台詞で神様はいないみたいなところがあったけど神様の認識を間違ってるのではないだろうかと思った。あと、私の行動範囲では、なぜか上映してる映画館と1日の上映本数が少なかったのは残念。
見てる最中、見た後、ずっと胸が痛い……
犯罪者は悪人ばかりではない。
ドラマ鑑賞済。今まで映画やドラマでもたまに出てきてた保護司。どんな仕事なのかハッキリしてなかったけど、このドラマを観て大枠が分かりました。国家資格が必要なのにボランティアなんてね?
このシリーズの主人公、阿川佳代は自己の経験から前科者の更生に寄り添いたくて、コンビニでバイトをしながら保護司をやっている。この地味な感じが有村架純がはまってる〜。
お話しは、前科者の再犯問題が主題。更生が順調に進んでいた男が突然いなくなり殺人犯の容疑者として警察に追われる身になる。困惑する佳代の所に現れる磯村勇斗演じる同級生の刑事。チラッとラブシーンあり。イェーイ!
何より自分がハマってしまうのは、リバーランズスルーイットの様な兄弟モノ。今作は前科者の兄と弟の復讐話。自分はどうしても兄貴目線で観てしまう。もし、弟が目の前で殺人を犯してしまったら、自分はどうするだろうって、真面目に考えちゃうんだわ。
森田剛演じる工藤誠は悪い奴じゃないのに、なぜ殺人を犯してしまったのか。弟の復讐のターゲットになった犯罪者でない人達。確かに、世の中は法律では裁ききれない出来事だらけだよね。俺も知らないうちに誰かに恨まれて殺されちゃうかもな。もしくは殺す。
もちろん、ハッピーエンドにはならなかったけれど、最後は涙が止まりませんでした。
重たい話だけど、チョコチョコ出てくる最初の前科者、ミドリのおかげで、気持ちが和らぎました。脇を固めるキャストもバッチリで大大満足。
良作
どの目線で観たらいいのか覚悟がいります
惚れるなよと言われても
漫画原作なのも知らず、WOWOWのドラマも知らずに行きましたが、すんなり作品世界を楽しめました。
架純ちゃんの表情というか、演技力に「惚れるなよ」と言われても惚れちゃいます。
架純ちゃん演じる佳代の、中学時代の彼氏役が磯村勇斗なんですが、この二人『ひよっこ』で結婚した配役だったから狙いすぎだなと思いました。
ほかに配役では、リリー・フランキーがツボ。
重い、絶望・悲しみの中の光を感じる映画
被害者・加害者、取り巻く人たち、傍観する人たち
世の中生活していく中、色々な立場に臨むと望まざるにかかわらず遭遇してしまう。
劇中殺されてしまう、殺されかけた人たちが出てくる。
死という人生最大の悲しみが突然訪れた人たちの辛さ・悲しさ、それに巻き込まれた人たちの人生の急変
二十代の保護司がいるのかと有村さんの設定に疑問だったのだが、実際にいらっしゃるようで、若さの未熟さを若いということで乗り切る保護司さん、佳代さんみどりさんのような関係も成立するのかなと思いました。
保護観察中の再犯率が世の中での生き辛さから起こるのなら、こんな規則は規則と守りながら、怒って笑って泣いて真剣に向き合い寄り添ってくれる方が一人でもいてくれるなら世の中捨てたもんじゃないと頑張れると思いました。
工藤さんが佳代さんとラーメンでお祝いする工藤さんの再生のスタートがあると思え良かったです。
ストーリー的に誇張もあるだろうが、それに近いことも起こっている。
親身に相談を聞いてくれなかった、上位機関への報告連絡を忘れてた、守秘義務が漏れていた。工藤兄弟はその連鎖で母親が殺されてしまった。
どうしてR12かなと思っていましたが、会話・映像の端々で見受けられました。
若葉さんさん演じる工藤守の人生が、生きていくために俺を買ってくれる人もいるの言葉、復讐にしか生きることを見いだせなくなっていた人生再開した兄弟が一緒に生きていこうとしたときは既に弟は人を殺め復讐を進めていた。兄工藤誠に葛藤はあっただろうに仮釈放反故の弟守に寄り添う道を選ぶ。
森田さんの演じるこれからを頑張ろうとしている兄工藤誠、若葉さん演じる壊れていしまって復讐に残りをかけた弟工藤守、お二人とも良い演技で重い・辛い・悲しいです。
有村架純の有村架純による有村架純のための
有村架純の声が完全に心理カウンセラー
人が人を思う連鎖で紡がれる結末が持つ温かさ
赤の他人に寄り添い更正へ導くことは、類いまれな体力と努力が必要だ。主人公の阿川(有村架純)は、コンビニで働きながら無給の保護司を続ける。過去から現在に至る阿川と滝本(磯村勇斗)との引き離せない関係性を、回想を交えながら盛り込むことで、阿川の保護司に懸ける想いを描く。命を燃やしてまで取り組みたいことは何かということを、彼女の生き様を通して観客に投げかけている。
優しく、時に激しい口調で前科者を叱咤激励する姿に、おしとやかで品のある役柄が多い有村架純の新たな一面を見た思いがした。
一方、職場での凄惨ないじめをきっかけに先輩社員を刺殺し仮釈放された工藤(森田剛)。目の前でDV夫に母を殺されたことに始まる"日陰な生涯"を送ってきたと言える。しかし、口ベタながらも愚直に生活を営む彼からは、前科者であることを感じさせない。
ところが偶然にも、生き別れた弟の実(若葉竜也)と再会する。弟への思慕から大きな犯罪に手を染めずとも社会復帰への歯車を少しずつ狂わされていく役柄を見事に演じきった。
ビンタから始まる、病室での阿川から工藤への言葉がハイライト。"人"として戻るフックを残したい阿川だが、理想を語るだけではとどまらず、厳罰化が叫ばれる現代社会での更正の難しさも浮き彫りにした。そして、あんなに美しい鼻水を今まで観たことがない(笑)
加えて、冷徹ながらも兄にはトラウマで苦しむ怪演を見せた若葉竜也など、余念のないキャスティングも見所のひとつ。個人的には、落ち込んだ阿川に対して励ますみどり(石橋静河)が作品全体で一番ぐっと来た。(ドラマ版は観ていない)
今の世界を構成しているのは、不完全で今にも崩れ落ちそうな人々なのかもしれない。そして、自分もその一人なのだと思い知った。
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