「限りなく続く銀河を進むMUGENの旅路」ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー VOLUME 3 平野レミゼラブルさんの映画レビュー(感想・評価)
限りなく続く銀河を進むMUGENの旅路
ソーは降りたがガギャラは相変わらず大所帯。拠点も持ってせっかく看板まで掲げたのに、いきなりアダム・ウォーロック襲来で看板が壊されたりでやはりコイツら最後まで落ち着かない!!
さらにそこからロケットの出自まで絡む事件が起き、銀河中巻き込んだどったんばったん大騒ぎへ!!
ロケットが序盤から危篤状態だったり、良くも悪くも力持ちすぎた子供であるアダムくんはともかく、その創造主であるハイ・エボリューショナリーが自分の生み出した命を消化しまくる悪辣なヤツだったりで今回は全体的に話のトーンは重めです。
これまでのロナンやエゴも銀河規模で破壊を繰り返してきたようですが、今回はその大虐殺の内容が詳細に描かれもするので、過去イチに厳しい戦いを強いられるという。
そもそも今回でやっと詳細が明かされるロケットを除いたメンバー、割と燃え尽き症候群気味ってこともあっていつもより雰囲気良くないんですよね……。
クイルはガモーラに未練タラタラで酒浸りだし(ソーがいる時はそんなでもなかったのに……)、マンティスも皆がいるから付いてきただけだし、ドラックスは復讐終えて何か太ったし。
だから最初のドタバタ過ぎてからはちょっと重苦しい空気が漂いがち。
ロケットを救うという目的は一致してるけど、全員新しい道を見失っており、逆に新しい人生謳歌しているガモーラにウザ絡みしたりする。バラバラの個性が何かまとまるのがウリのシリーズですが、今回は個々がそれぞれの進むべき道を定める物語になっています。
ただ、そんな中でもやはり軽妙なギャグやミュージックは欠かさないのが我らがガーディアンズ!敵地突入辺りから徐々にリズムを取り戻し、各々銘々好き勝手にボンクラに動き出す!!
相変わらず群像劇としての展開が巧くガーディアンズ、アダム、ハイエボの三つ巴で舞台を次々に移しつつテンポが良い。
今回の主役であるロケットは序盤から昏睡状態ですが、他メンバーの活躍の合間に知られざる過去が回想の形で挿入。明かされた過去を踏まえて思い返すと、グルート死んだ時とか指パッチンで皆が消し飛んだ時とか、彼がどう感じていたのかさらに痛いほどわかってきてしまう。
でも、そういう傷付いてるヤツが自分の他にいたらどうするか?
何も言わずに振り返って助けに行ったらその時点で君はガーディアンズ・オブ・ギャラクシーだ!!と言わんばかりの今回の最終決戦入りは、やはりラストだけあって滅茶苦茶に盛り上がります。ヒーローの定義はいつだって単純。
あと本作は真面目に動物映画ですね。すっごーい!君は○○のフレンズなんだね!!がいっぱい出てくる。そして動物だろうとなんだろうとはぐれ者は仲間として受け入れる!それが俺達ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー!!を貫いていきます。カワウソ、トド、ウサギ、ハツカネズミ諸々いっぱい。本当にいっぱい。
これが最後というのは寂しい気持ちにはなりますが、そこは「永遠じゃねェ、MUGENだよ」のスピリットですよ!最後までいつも通り、ゴキゲンに音楽を鳴り響かせ、銀河のはぐれ者は爽やかに行く。さあガーディアンズ・オブ・ギャラクシー、合図!