劇場公開日 2022年7月8日

「接近戦バトルと電撃が楽しい一作。」ソー ラブ&サンダー yuiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0接近戦バトルと電撃が楽しい一作。

2022年8月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

毒もウィットもあるが、やっぱり子供がかわいくて仕方ない様子のタイカ・ワイティティが前作から引き続き監督を務めています。もちろん人類愛に満ちあふれた典型的なヒーロー(神)像とはいささか方向性が異なったソーが主役なのだから、一応強敵に立ち向かってはいますが、ジェーン(ナタリー・ポートマン)とは微妙な関係にあったりと、ちょっと闘いにのめり込み切れていない様子。

神ほどの力を持たない人間が、それでも子供を守ろうとして苦悶する導入部、ジェーンが直面している問題など、本作は極めて深刻な要素を盛り込んでいるのですが、それを悲劇の一歩直前で踏みとどまって、むしろ笑いを誘う演出に昇華しているところが、さすがワイティティ監督です。前作に続いての登板ということと、元々ソーという人物(神)像が監督の作風に合っているのかも知れません。

クリスチャン・ベール演じるゴアは、神の抹殺に執念を燃やす悪役として登場しますが、正直彼が神を恨むようになったいきさつを知ると、彼をまるっきりの悪役として見ることはできなくなります。むしろ結末近くの展開では、ソー側の方こそ子供達の扱いは大丈夫なのか…?と感じてしまいました。見方によってはちょっと『ビースト・オブ・ノー・ネーション』(2015)味が…。ラストバトルの展開については、人によって評価が分かれそうなので、もしワイティティ監督のインタビューなどあれば、ぜひ拝読してみたいですね。

yui