「マルチバース(多元宇宙空間)な世界観」ドクター・ストレンジ マルチバース・オブ・マッドネス bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
マルチバース(多元宇宙空間)な世界観
マーベル作品は、『アベンジャーズ・エンドゲーム』後、新たに『エターナルズ』が後継者と思っていたが、先日公開された『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム』で、ストレンジとコラボし、新たな展開への序章となった。
その際に時空を歪めてしまい現れた、マルチバースの世界が、今回の舞台。『スパイダーマン NWH』のラストから繋がるストーリーとなっている。元々、スリング・リングで自由に異空間に移動できるストレンジだが、本作では、現実とは別空間の、サノスとの戦いで、ストレンジが死んだとされている、マルチバースに出向いての魔術合戦。
ストーリーは、正直、難解。というのも、単にマーベル作品を継承するだけではなく、ディズニー・ドラマの『ワンダヴィジョン』の内容が絡んでくるため。今回のヴィランが、アベンジャーズで、数奇な運命ながらも共に闘ったワンダというのが、そのドラマの流れになるらしい。ドラマを未鑑賞の為、詳細は不明。
今回、新たなキャラクターのアメリカ・チャベスが登場。彼女の持つ強大なパワーを吸収しようとするワンダを、ストレンジが阻止する物語なのだが、なぜパワーを必要とするか、その理由がなかなか掴めなかった。後半になり、その理由となる前半の布石が回収され、納得したが…。
また、ストレンジというと、これまで自分本位で、傲慢さが目立ち、共闘できないキャラとして描かれたていた。しかし、本作では、ワンダの力に屈し、窮地に落ちた時に、図らずも愛するクリスティーに、悪霊から守って欲しいと頼ったところが、新たなストレンジのキャラとして、新鮮さが垣間見えた。
本作は、サム・ライミが監督。ストーリーは難解だったが、異次元空間の色彩美や激しいアクションシーンの映像は、VFXを多用し、文句なく一流。
また、彼独特のダーク・ホラーな世界観も、ゾンビ・ストレンジや取り憑かれた悪霊などによっても、十分描かれている。また、正義のユニット『イルミナティ』の登場も憎い演出だったが、あまりにぞんざいな扱いだったのは残念だった。特にプロフェッサーが…。
当然、ラストには、次作へとつながるオマケつき。何と、あの人がストレンジを招きに来るのは、思わずニヤリなサプライズ。マルチバースが、開かれたからには、マーベル作品は、いったいどこまで幅を広げていくのか、見当もつかない。