「得意のガイ・リッチー節と新機軸とがみごとに融合」キャッシュトラック 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
得意のガイ・リッチー節と新機軸とがみごとに融合
フランス映画のリメイクだが、ずいぶんと印象が異なる脚色がなされていて、いわゆるジェイソン・ステイサム映画というジャンルと、ガイ・リッチーらしい犯罪群像劇と、ずしりとしたハードコアな感覚とが一体化している。これまでのガイ・リッチー映画と違うのは、ユーモアが前面には押し出されていないことと、無造作な死というS・クレイグ・ザラー的なリアリズムが加わっていることだろう。要素が多くて、精緻な一つの世界観という印象にはならないのだが、「大人のガイ・リッチー映画」とでも呼びたくなる新境地を感じることができた。50代になっても伸びしろというか、未知の可能性は失われないだと信じさせてくれて、ガイ・リッチーさんありがとうという気持ちである。
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