劇場公開日 2021年10月8日

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「いつものガイ・リッチーとはちょっと違う」キャッシュトラック 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0いつものガイ・リッチーとはちょっと違う

2021年10月22日
PCから投稿

いつもの飄々としたガイ・リッチー作品とは違い、本作には独特の影とストイックさが同居する。その変化球ぶりは主演ステイサムにも言えることで、いつもなら口を開くと罵り言葉や相手を威嚇するジョークが飛び出すところが、今回のキャラクターはずっと寡黙で、マグマのような信念を内に秘め、それでいて実戦になると目が覚めるほどの素早さで相手を瞬殺する”心技体”を併せ持つ。そんな謎めいたキャラクターを丁寧なチャプター構成で徐々に解き明かす構成がこの映画の7割を支配し、その後の3割で種明かしとなるわけだが、この視点の移動もいつものリッチー式のこれみよがしなものとは異なり、あくまで素材に身を捧げている感じ。慣れ親しんだ”クライム・アクション”のプレイグラウンドではあるものの、その遊び方がいつもとはだいぶ違うという、彼のストーリーテラーとして経験と力量を見せつけられた格好だ。派手さはないものの、2時間、飽きさせない。

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牛津厚信