劇場公開日 2021年10月8日

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「ジェイソン・ステイサム×ガイ・リッチー監督による、一見、単純そうな話が丁寧に深堀されていく「謎解きクライムアクション映画」。」キャッシュトラック 細野真宏さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ジェイソン・ステイサム×ガイ・リッチー監督による、一見、単純そうな話が丁寧に深堀されていく「謎解きクライムアクション映画」。

2021年10月8日
PCから投稿

本作は、邦題が「キャッシュトラック」となっていて、これは「cash transport truck」(現金輸送車)の略語なのでしょうか。
少なくとも原題だと、ややネタバレっぽくなるので、こちらの邦題の方が良いと思います。
ガイ・リッチー監督は本作も前作「ジェントルメン」と同様に、映画会社の新生ミラマックス(Miramax)とタッグを組んでいます。
冒頭で、突然、現金輸送車が武装された強盗に襲撃されます。
その直後のオープニング以降は、「章立ての構成」になっていて、最初は「悪霊」となっています。
そして、その現金輸送車の武装警備を専門とする警備会社にジェイソン・ステイサムが面接試験を受けに来ます。
ここまでは現金輸送車に襲撃事件が起こったりもしますが「通常の風景」となっています。
そして、「3か月後」と時間が流れ、この辺りからジェイソン・ステイサムが何やら特殊な動きをしていきます。
次に「しらみつぶし」という章に変わり、「5か月前」という表記と共に5か月前の出来事が描かれます。そして、次は「3週間後」という表記と共に3週間後が描かれます。
そして、次の章は「野獣ども」といった感じで、舞台が変わります。
このように本作は、ガイ・リッチー監督らしく時間軸がどんどん動いていく構成ですが、キチンと表示が出て、しかも分かりやすく章立てになっているため、混乱せずに「謎解きクライムアクション映画」として楽しめる仕掛けとなっています。
そして、終盤の舞台は、感謝祭(11月の第4木曜日)翌日の金曜日の「クリスマス・セールが始まり、お店の売り上げが急激にあがる日」である「ブラック・フライデー」となります。
この日は文字通り「アメリカで最も現金が動く日」となるため、現金強盗には狙い目となるわけです。

たまたま公開時期が「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」という超大作映画とぶつかっているため比較せざるを得なくなりますが、このような超大作映画と比べてしまうと、やや派手さや世界観が弱いのは仕方ないと言えるでしょう。
とは言え、本作は予備知識が一切要らないので、気軽に良質なアクション映画を楽しみたい人に、とても適した「エンターテインメント作品」だと思います。

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細野真宏