「愛する家族が殺されたら、」復讐者たち ミーノさんの映画レビュー(感想・評価)
愛する家族が殺されたら、
妻子と分かれてアウシュビッツに収容されていた主人公マックスは戦後、妻子はナチスによって森の中で殺されていたことを知る。その時、調査の元でナチ親衛隊を探し出して処刑しているミハイル達のイギリスのユダヤ旅団と出会い、仲間に入れてもらう。そのうち、民間人も含めてドイツ人皆殺しを企むナカムというグループに遭遇する。ユダヤ旅団が任務を終了してパレスチナの軍事組織ハガナーに合流する時、マックスは彼らと別れて、ナカムの一員となり、ミハイルに情報を渡す役割をする代わりにハガナーの身分証を発行してもらう。ナカムはドイツ各都市で整備中の水道管に毒を入れて市民を皆殺しにする計画を立てていた。水道管工事の人足として潜り込み、ナカムに入れてもらう。ナカムの一員のアンナは息子をナチスからの逃亡中に地下道で亡くしており、今も自責の念で苦しんでいた。毎夜うなされている彼女の部屋で計画の地図を見つけ、ミハイルに報告する。当初はナカムを裏切っていたマックスだったが、行動を共にするうち、アンナと心を通じ合うようになり、ジレンマを感じる。いよいよリーダーのアッバが毒を入手したという時、ナカムのメンバーの一部はアッバを湊に迎えに行き、アンナは去り、マックスは窓からアンナを見送りつつ、アパートで一人アッバを待っていた。妻子の生存を信じて探していた時に知り合った男からもらった、開けてはいけないという布袋を開けた時、毒の入った鞄とともにアッバが現れ、水道管に入れるために向かっているとミハイルに尾行され、水道管に毒を入れる直前に追いつかれ、もみ合いになった末、世話になったミハイルを絞め殺し、水道管に毒を大量投入、町中の市民が死ぬ…
というのが、目には目を、600万には600万を、のナカムのプランAであった。実際にはアッバはドイツに戻る船で捕まり、プランAは果たされなかった。マックスは故郷に帰り、新しい幸せを見つけて暮らす。それが真の復讐である、と。
エンドロールのラスト「NEVER AGAIN」も効いている。
ラストは家族を失ったユダヤ人の生存者が次々と出てくる。またアッバは実在の人で実話らしい。確かにプランAが実行されていたら、ドイツ人が何も反撃しないとは考えにくい。
ナチス、ユダヤ人虐殺の映画は多く見たが、戦後のユダヤ人の映画はあまりなかった気がする。70年以上経って、被害を描く以上の、考えさせる内容が増えてきた。