かそけきサンカヨウのレビュー・感想・評価
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人の器
雨に濡れると透明になる花 サンカヨウ
丁度白い紫陽花が咲き始めた頃に観ました
緑がかった淡い白から
くっきりとした白い花になる紫陽花
水の器と呼ばれるhydrangea
思えばどちらも水に作用される
人がいろんな環境によって影響されるように
私が陽ならあの歳でお母さんを許せるだろうか?
きっと許さないだろうな
ほんとにねそんなに早く物分りよくならなくてもいいよと言ってあげたい気もする
人それぞれだけれど
水のように吸収して寛容になることが大人の一部であるならそこだけ永遠の子供であってもいいかも知れず
でも 感覚が覚えているんだよね
その触れたやさしさ、その声を 遠い記憶の中で
私の覚えてるいちばん古い最初の記憶
2〜3歳の頃、父にカメラを向けられて
踊ってごらんと言われ
恥ずかしいのにポーズをとった
その時の写真は今も記憶と共にある
同じ好きじゃないかも…
煮え切らない陸にイラつく(苦笑)
好きかどうかワカラナイ場合は個人的には好きではないでいいんじゃない?って思ってしまったけれど
好きは考えるものではなくて感じるものだから
まぁでも陽に何よりも素敵な誕生日プレゼントを持ってきたので許します(笑)
陽はお父さんにすごく救われているし
新しいお母さんもお父さんが選んだ人だからという安心感がそこにある気がしました
お父さんあってこそな感じ
人は傍からは分からないことだらけ
一辺倒ではくくれない
自分らしく手探りで自分だけの生きざまが
私という生き物を彩りカタチ作ってゆく
そこにはどんな花が咲いていますか?
大人の階段を登る主人公の心の動きを静かに読んだ物語 かそけきとサンカヨウのタッグが効いてます
穏やか
1番小さな頃の記憶が、両親の喧嘩という陽。どうしてお母さんが出ていったのか、、幼い頃から寂しい思いをしてきたはずだけど、夕飯作ったり、家のことをするのも当たり前。荒れることもなく、現実を受け入れている強くて優しい女の子。
お父さんの再婚で、戸惑ったけれど、初めてお父さんから、どうして別れたかという話を聞かされる。井浦新の声が優しい。あんな風に穏やかに話されたら、やっぱり受け入れるしかないだろう。でもその後、実の母と連絡をとり会えたので、良いきっかけになったよね。
新しいお母さんと妹、同級生の友達。それぞれに悩んだり、自分の気持ちを伝えたり。全編を通して、穏やか、優しい。
陸がお母さんに、海外に行ってもいいんだよ。おばあちゃんにいつも言われっぱなしでかわいそう。と思っていたのに、『陸が小さいときは、おばあちゃんに沢山助けてもらったんだよ。』と話しているシーンがグッときたなぁ。
ピュアを眺める
しんみり泣けて、
ひたすらに無垢な高校生2人を眺めているような映画。
正しく覚えられなかったタイトル「かそけきサンカヨウ」も
鑑賞後はしっかりと心に刻まれた。
この物語は、複雑な家庭環境を持ちながらも
みんな誰かを丁寧に想っている人たちだけの優しい世界。
感情が揺さぶられるような話ではないけれど、
エンドロールではピュアな2人に記憶が刺激されたのか、過去に優しくしてくれた人たちを思い出して涙が流れた。
陸は自分に何もないことを憂いて、今の自分が嫌いでどうにかしたいと思っている。
最後まで足掻こうとしている姿は、これからも悩みながら成長していくんだろうと思わせる。
思春期の気持ちがリアルに描かれていて、懐かしく、むず痒かった。
そんな姿を見て、心が引っ掛かる。
いつからだろうか、自分に何もないことに対して憂うのを辞めたのは。
大人になるにつれて、何もないことが当たり前になっていくというか、
自分の可能性の行先が見えてくると、いちいち憂いていられない。
ちゃんと向き合おうとすると心が持たないのである。
傷つかない処世術を身につけて上手に生きていく、大人になるってそういうことか。
才能がないこと、人に胸を張れる夢を持っていないこと、真っ直ぐな気持ちで人と接することができないこと…全てをそんなものなんだと受け入れてやり過ごすようになったんだなと思う。
たまには自分の弱い部分をひっぱってきて、
新しい可能性を想像してみるのもいいかもしれない。
ムズムズ
主人公たちの青春の甘酸っぱさにキュンとしながら、時折繰り広げられる家族の物語に涙した。
特に国木田美子役の菊池亜希子さんが素晴らしい。
陽から「お母さん」と呼ばれた時の涙で感動した。
主人公2人のカップル感もちょうどいい?距離感で最高。
家族や友人との、変わりゆく関係をゆっくりと丁寧に描いた作品です。
志田彩良ちゃん初主演の作品ということと
今泉力哉監督の作品ということもあって、
ぜひ観ておきたかった作品です。
ヒロイン=陽(志田彩良)は高校1年生
父との二人暮らし。
親子関係は良好。 …だったのだが、
ある日、父(井浦新)が口にする。
「父さん、恋人ができた。 結婚する。」
反対する理由も無く、相手の女性との
同居生活が始まる。
先方も子連れ。
4~5才の小さな女の子が妹になった。
可愛くない訳ではない。 …けれど
わがまま。やりたい放題の妹。
自分の作る料理とは、味付けの違う料理。
否応なしに変化する環境に
何かを飲み込む日々が続く。
そしてある日
大切にしていた本が、妹に破かれていた…。
好きな作家の本 そしてそれは
自分を置いて家を出た 母の本。
爆発する陽。 …まぁ 気持ちは分かるかも
…
と、まあ
こんな風にお話は続きます。 (粗い…)
◇
エピソードの一つ一つは
陽を中心にした
周囲の人たちとのつながりを描いていきます。
・中学からの友人達 (男女梅井ずつ。みんないい子達だ~)
・父親 (映像関係の仕事をしているようです)
・新しい母 (父が仕事上で接点のあった女性らしい)
・母の連れ子の妹 (一回りくらい年が離れているのでは)
・産みの母親 (途中、訳あって離婚した事が分かる)
話が進むに連れて、皆それぞれが
過去へのこだわりや
現在の境遇に対する複雑な思いがあって
そういったものを引きずったり
そういったものに縛られながら
みんな、今を生きていることが分かってくる
その描き方がとても自然で
共感できるものでした。
派手さの無いストーリーで、地味な印象も受けますが
複雑な人間関係を上手に描いた
とても良質の作品と思います。
観て良かった。
◇ あれこれ
志田彩良ちゃん
「ひかりのたび」のポスターを見て以来
気になっている若手の女優さんです。
この作品が一番いきいきしていた気がします。
今後も要チェックです。
※「ひかりのたび」の本編を見る機会が無く
予告編しか観たことがありませぬ(…汗)。
どこかのネット配信でやってないのかな…
サンカヨウ
この植物のこと、初めて知りました。
漢字だと「山荷葉」
水に濡れると、白い花びらが透明になる へぇ
どの辺りで見られるのかと調べてみると
長野県とか 岐阜県とか… 山岳地帯の植物 ?
どこでも見られる植物ではなさそうで …ちょっと残念。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
幽けき山荷葉
窓口でチケットを買う方、「幽けき山荷葉」です。
山荷葉がどんな花か、映画の中でも説明してくれるのですが、陽のイメージ、そして志田さんのイメージにぴったり合うんですよね。
その志田彩良さんが、やっぱり良いんです。
そして今泉監督は、志田さんを引き出すのが巧いですよね。
それで、今回は志田さんの何が特に良かったかというと、不安げな表情。
状況に応じて、いろんな不安げな顔を見せてくれるの。
陽の自分の居場所に対する不安を感じ取れるから、産みの母のそばに居場所を作れた時、新しい家族の中の居場所を確かめられた時に良かったと思えるの。
最後には、陸の横に新しい形の居場所ができそうだったしね。
そして、この映画の最高に良かった点は、登場人物たちが皆、人に対して真面目に向き合うところ。
「分からない」と返答する場面も有ったりするけど、真面目に向き合っているからこその「分からない」だしね。
それで、全員が真面目だと堅苦しくなってしまいそうだけど、そこは今泉監督作品なので、適度に力が抜けてるんです。
今泉監督、流石としか言い様がないです。
この映画、良い映画だと思います。
平凡な日常がいい。
(素人の私の感覚としては)地味なcastでまとめられていながら、学芸会になっていない。
志田彩良は、「シム・ウンギョン」、「ともさか りえ」を連想してしまい、当初、その印象が強かったが、抑えた演技で好感が持て、徐々に彼女の演技に魅了された。
鈴鹿央士は、「大人ドロップ」の「池松壮亮」を思わせた。パンフの「誰かを傷つけたり、悪い人がいない作品で、優しい気持ちになりました」というコメント通りの演技で、この雰囲気は本作品全体を通して感じられ、今泉力哉監督の本領発揮といったところだろう。
中井友望や鎌田らい樹、遠藤雄斗らは、セリフがたどたどしいな、と思うところもあったが、今どきの高校生の言葉なんてそんなものだろうから、むしろ意識しての演技かもしれない。
少し気になったのは、義母役の菊池亜希子が、バタ臭いこと。これも、中盤からは慣れた。
自分でも意外だが、一番反感を持ったのが実母役の石田ひかり。悪人がいない映画で、多分唯一いちゃもんを付けられる役だからかもしれないが、花を描く画家だけに彼女の「お花畑」的な雰囲気が逆に嫌な感じ。
だいたい、絵の制作と実生活との葛藤で、絵を選び家族を捨てていった母親が、再婚して子供を作るなよ、って言いたい。石田が悪いんじゃないんだが、役に殺されたようなイメージがある。大林宣彦監督の「ふたり」で、石田にいじめをした島崎和歌子が、そのイメージに引きずられたのと同じような感じ。「やりかえされたかな」と思った。
親の離婚・再婚、心臓手術。たしかに平凡な日常にはない大事件だろうが、それを取り立てて大げさに描かず、平凡な日常の一部として淡々と描いていたのがいい。 これは、井浦新の「普通オーラ」が映画全体を覆っているせいかも、と彼のファンの私は思う。
公開劇場は少ないと思うが、面白かった。
多分、もう一度見に行く。
足踏む恋
今回も今泉監督がやってくれました。この淡い雰囲気がとっても好きです。
幼馴染が喫茶店に集まって話す様子、ここだけでも羨ましいなと思いました。自分自身喫茶店に行くことがないので、こういう何気ないシーンも心地が良いです。
父子家庭の主人公・陽。家事を一手に担うあたり、大人にならざるを得なかった子供の感じを醸し出していました。自然体で物語がスッと胸の中に入ってきました。父と娘の関係も良好で、些細な会話にもニコニコしてしまいました。
父親から恋人ができ、その人と結婚すると言われたらさすがに動揺してしまいます。伝える雰囲気も井浦さんの優しい言葉遣いもあり、何とも言えない空気になります。父と恋人が出会う流れも映画関連の仕事で会うっていうのも中々良い出会い方だなと思いました。映画の音楽と翻訳・通訳、どっちも映画にとっては大切なものなので、そこが繋がるというのも映画とリンクしていて面白かったです。小さな妹・ひなたの侵略はまるで怪獣の様で、あっという間に父親も虜になり、陽は少し置いてけぼりにされます。ひなたを見つめる視線も嫉妬心が詰め込まれてて、とても歯痒かったです。
ひなたの自由奔放さは思春期の陽にとっては騒がしく、鬱陶しいものと感じていたのだと思います。おにぎりを食べた手でスカートを触られるのも汚れてしまうし、気に障ってしまうものだなと思いました。自分も子供とふれあう時に汚れを気にしてしまうこともあるので、すっごく共感してしまいました。ひなたが本を破いてしまい、陽が怒るシーンも意味がしっかり込められており、ちゃんと2人が謝り、本を修復していくシーンは家族を形成していく形とも取れて素敵でした。
友情の描き方も上手で、陸との恋愛ととってもいいか分からないシーンがモヤモヤするけどとっても可愛らしいものになっていました。陸の行動がイチイチ可愛くて、超鈍感だけれどとっても優しい人間で、嫌味が全くない素敵な人間です。心臓に病を抱えており、夢を諦めざるを得なかった陸は同情以上に人を想っており、沙希の日常での悩みにも寄り添っていて本当に理想的な男です。沙希もかなり人を疑う子なのですが、陸と陽をひとつ繋げる架け橋になっていました。すごい上手い人物配置だったと思います。
父親が映画に音楽をつける作業を陽に見せているシーンにもある通り、色々な人の恋愛、友情はその場その場で描かれるもので構築されているんだなと思いました。
相変わらず素敵な映画でした。可愛いが凝縮された美しい映画でした。志田彩良さんや鈴鹿央士さんを長いカットで観れる贅沢なショットにも心打たれました。役者陣の落ち着いた演技に思わずホッコリしてしまいました。今泉監督、ついていきます!
鑑賞日 10/16
鑑賞時間 12:55〜15:00
座席 D-7
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