劇場公開日 2021年10月15日

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「今泉監督のmellowに続く優しい作品」かそけきサンカヨウ さくらんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0今泉監督のmellowに続く優しい作品

2021年11月7日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

幸せ

父方の祖母と母のやりとりをいつも見てる陸。
父との関係がうまくいかず、陽を置いて出て行ってしまった母。
その人の行動だけを見ていて感じるものとその行動の裏に隠された、本当の気持ちには実際かなりの差があることがある。それは実際言葉で伝えないと伝わらない。

陽は随分と聞き分けのいい子に育ったね。
それがいいか悪いかは難しいとこだけど。
もし、父一人子一人で育って、家事もずっとやってきて、15歳の年頃の女の子が、お父さん恋人ができたって言われたら、まぁ、恋人はいいとしても、すぐに一緒に住んだりとか今まで自分がやってた家事をやってくれたりとか、急に妹ができたことを嬉しかったって言えたりって、なかなか自分が同じ年だったら、そんな素直に受け入れられないと思っちゃうんだよね。
それは、陽が本来の根っからの心の優しい性格の持ち主だったからかもしれないけどね。

家族の形はいろいろある。
陽はせっかく一緒にいるんだからねと自分からお母さんと呼び、言えなかった味付けのことまで言えるようになっていった。
お互いが歩み寄ることで心の距離が縮まり、新しい家族を作りあげていった。
そして、実の母と会うこともできた。
彼女はきっと陽のことを一日たりとも忘れたこともないだろうし、3歳で別れたときから、陽の幸せを願わなかったことはないと思う。それがわかっただけでも、陽は自分の存在が救われたと思っただろうね。
だけど、もう少しゆっくりでもその関係づくりはよかったかなと思う。本当にお父さんも優しい人だから、ちゃんとそれを理解してて、陽を早く大人にさせてしまったのは申し訳なかったと謝っているんだから。

大切なことを簡単に言えないのも、言えるのも
その人を大事に思ってるからってことなんだろうね。
ラストはみんなが笑顔で終われてよかった。
キャストの皆さんも優しいふんわりとした空気感を見事に演じていらして、志田さんと鈴鹿くんのお2人の雰囲気も素敵でした。そこに遠藤雄斗くんのスパイスが加わって、ピリっとアクセントができる気がします。
今泉監督の作品はmellowもそうだったけど、いろんな優しさに涙しちゃいますよね。温かい気持ちになれるんです。
だから、きっと監督も繊細な心をお持ちなんだろうなといつも心配してます。

さくらん