「ピュアを眺める」かそけきサンカヨウ chakauooさんの映画レビュー(感想・評価)
ピュアを眺める
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しんみり泣けて、
ひたすらに無垢な高校生2人を眺めているような映画。
正しく覚えられなかったタイトル「かそけきサンカヨウ」も
鑑賞後はしっかりと心に刻まれた。
この物語は、複雑な家庭環境を持ちながらも
みんな誰かを丁寧に想っている人たちだけの優しい世界。
感情が揺さぶられるような話ではないけれど、
エンドロールではピュアな2人に記憶が刺激されたのか、過去に優しくしてくれた人たちを思い出して涙が流れた。
陸は自分に何もないことを憂いて、今の自分が嫌いでどうにかしたいと思っている。
最後まで足掻こうとしている姿は、これからも悩みながら成長していくんだろうと思わせる。
思春期の気持ちがリアルに描かれていて、懐かしく、むず痒かった。
そんな姿を見て、心が引っ掛かる。
いつからだろうか、自分に何もないことに対して憂うのを辞めたのは。
大人になるにつれて、何もないことが当たり前になっていくというか、
自分の可能性の行先が見えてくると、いちいち憂いていられない。
ちゃんと向き合おうとすると心が持たないのである。
傷つかない処世術を身につけて上手に生きていく、大人になるってそういうことか。
才能がないこと、人に胸を張れる夢を持っていないこと、真っ直ぐな気持ちで人と接することができないこと…全てをそんなものなんだと受け入れてやり過ごすようになったんだなと思う。
たまには自分の弱い部分をひっぱってきて、
新しい可能性を想像してみるのもいいかもしれない。
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