劇場公開日 2021年10月15日

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「サンカヨウに見る母の記憶」かそけきサンカヨウ 唐揚げさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5サンカヨウに見る母の記憶

2021年10月28日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

難しい

幸せ

寝られる

幼い時に母親が家を出て行き、父子家庭で育った陽は高校生になった。
ある日父親は、「付き合っている人がおり、その人と再婚する」と言う。
突然始まった、父と新しい母と彼女の連れ子(義妹)との生活。
産みの母親について複雑な想いを抱えながら、陽は“好き”な幼馴染の陸と時を共にする。

非常に幽けき作品だった。
一つずつ問題が解決してもなお、募り続けるモヤモヤ。
主題も問題点も移り変わり、はっきりとしない。
それは幸せか、不幸せか。
今にも消えてしまいそうな、親との思い出、人を好きな気持ち、そして自分の存在。
少年少女は少しずつ大人になっていく。

期待しすぎた自分のせいかもしれないけれど、今回はあまりハマらなかった。
世界観や映像の雰囲気は問答無用で好きだけど、幽けきすぎるというか何というか。
特徴的な登場人物がいるわけでもない、何か事件が起きるわけでもない、やり場のない空虚な空気感はこの作品に合っているんだけれど、それ故になんだか少し物足りない気がして。

志田彩良はとても良かった。
今泉監督のゆったりと流れるけど、説得力のある世界観にぴったりのヒロイン。
ただ、登場人物で1番好きなのは友人の鈴木沙樹。
他の登場人物が優しさで溢れる中、彼女だけはどこか危うさを秘めていた。
ただ決して嫌な奴ではなく、1番人間らしく年相応の難しさと純粋さがある。

タイトル通り、ぼんやりとして印象が薄かったので、もう一度観たい。
その中でも1番印象深かったのは、果物のデッサンに緑の色を入れるシーンと、崎山蒼志さんの歌う主題歌『幽けき』。
暗号のようなタイトルには初め困惑し、かそけきもサンカヨウも初耳だったが、意味を知り納得。やけにしっくり来るようになった。
日本語って素晴らしいよね。

余談:劇中の入院土産のプリンを見て、無性にプリンが食べたくなったので帰りにコンビニで買って食べました。
美味しかったです。

唐揚げ