「文字通りの「蛇足」で快心の台無し」MINAMATA ミナマタ zem_movie_reviewさんの映画レビュー(感想・評価)
文字通りの「蛇足」で快心の台無し
とてもいい映画でした。過剰な演出もなく、淡々と事実を追っていく、整理していく「ような」演出。ジョニー・デップの演技も真に迫るもので、熊本の美しい風景と生活者との素晴らしい描写に映画そのものに出しゃばらず、情景や心情に深みを与えることはあっても決して出しゃばることのないBGM(ここはさすがに坂本龍一の真骨頂だと唸らざるを得ない)と素晴らしい作品でした。
高評価をうなずける映画だ、、、、あれ?何このラストメッセージ。そんなことあったんだ?え?と頭の中が「?」だらけになりエンドロール、、、そこでも糞味噌一緒の雑なカテゴリ分け。ラスト1分~エンドロールでこの映画の素晴らしさが綺麗サッパリ消え去りました。
確かに、テーマがテーマです。政治的の部分を避けるわけにはいかないでしょうし、多少のバイアスはかかりますでしょう。が、特定の考えや価値観を押し付ける事実経過を無視したラストメッセージで白けました。そして、調べました。案の定、特定コミュニスト系による記事しか引っかかってこないという、「ああ、お得意の切り取り、曲解かよ」ということが分かりました。
それから、必要以上に水俣市(というか市民)を悪者にしているのだなあとも気づきました。試写会で水俣市が主催、後援を断ったとのことでしたが、断って正解でしたね。時空を飛びすぎですよ。大阪や千葉の出来事が水俣で完結しちゃってんですから。 事実に基づいたファンタジー。それがこの映画でした。