劇場公開日 2021年9月23日

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「主役の牽引力」MINAMATA ミナマタ garuさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0主役の牽引力

2022年1月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 予想を裏切り、面白かった。 メッセージ色の強いだけの社会派映画ではなく、非常によくできた映画だった。 一番良かったのは、この映画の売りでもある、主役のジョニーデップ。 彼の、柔らかいが独特で強烈な存在感が、ユージンスミスの役の中に見事に溶け込んでいた。 出演者も観客も、ジョニーデップに乗り移ったユージンスミスに牽引され、最後までもっていかれるという感じだ。

 私はこの映画で知ったのだが、ユージンスミスというのは、 いやはや驚くほど骨のある男だ。 自分の仕事に命を懸けられるほど没頭できるなんて、男として、いや、人間としてこれ以上幸せなことはないだろう。 羨ましい。

 それと、見終わった後で坂本龍一が音楽担当だと知ったが、これが抜群だった。 久しぶりに、エンドロールを見ながら美しい音楽で余韻に浸った。

 我が国が現在に至るまで引きずっている水俣水銀汚染の問題は、人間の過分な欲望の集合体である大企業から、我々人間がいかに奴隷化されてしまうのかという事実を眼前に突き付けてくる。 実は、誰にとっても身近なことであり、決して目を離してはいけない大問題だ。 そういう意味でも、この映画の意義は大きい。

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Garu