「運動の作用」MINAMATA ミナマタ hyvaayota26さんの映画レビュー(感想・評価)
運動の作用
ありきたりの感動話だろうと思い期待していなかったけど、患者、家族、活動家、写真家が目的のために団結し社会を変えていく姿がとても心に響いた。
大勢の幸福のためなら多少の犠牲は取るに足らない、という発言で「今」につなげている。
どうしてこういう運動から現代の私たちは断絶してしまったんだろう?またこういう力を取り戻すにはどうしたらいいんだろう?水俣や足尾銅山にヒントがあるかも知れない。
ユージンが水俣に来た時、無言で一方的にシャッターを切るんだけど、それがだんだん変化していくのも良かった。アイリーンの「手を動かしてもいいですか?」という声がこの上なく優しかった。
幟の「怨」の文字、同行二人の装束など、説明されてはなかったが前知識もあったのでディテールにグッときた。映像の力を感じる。智子と母の撮影シーンも良かった。
演技の面では國村隼が頭抜けている。真田広之が市民側なのが珍しい気がした。
前半のユージンの状況はいまのジョニーデップの境遇をトレースしたようで、それでも演技をしたいという彼の叫びのようだった。それはもしかしたら栄光への名残りかもしれないけど。
実際に当時どうだったかはわからないが、ライフの編集部が半分女性だったのがまぶしかった。
演出や編集はちょっともたつくので映画の出来としてはやや劣るけど、いまの時代に作られるべき映画だと思った。
水俣を世界に注目してもらうためにユージンを誘った設定になっていて、誰がPR仕掛け人?と思ったが実際とは違うみたい。