「映画として普通に素晴らしい。」MINAMATA ミナマタ who am iさんの映画レビュー(感想・評価)
映画として普通に素晴らしい。
日本人として、見るべき映画かと思います。
ただ水俣病について知るためとかそういうことよりも、日本で起きた出来事をテーマにした素晴らしい映画なので、日本人にこそ推したい!ていう意味が強いです。
役者陣の演技がとにかくいいです。
真田広之、加瀬亮、浅野忠信と、ハリウッドで実績のある俳優が名を連ねていますが、どれも安定の素晴らしい演技で。
(個人的には浅野忠信の熊本の普通のおじさんぶりに驚嘆しました!)
ヒロインの美波も、あの時代の美人感がすごかった。
ジョニー・デップも、なんともいえない安定感というか安心感というか。
一つの到達点なのではないでしょうか?
実際のアイリーンさんも撮影に立ち会われたようで、たまにユージン・スミスがそこにいるように見えたように感じたことがあったみたいです。
ジョニー・デップは、写真家ユージン・スミスに長い間興味を持っていたそうです。
そのユージン・スミスが最後の仕事としてMINAMATAを写真に残した。
それを今、ジョニー・デップが映画にした。
何か、時を超えてつながった思いがスクリーンから伝わってくるような、不思議な感覚を感じました。
その映画が描く水俣病。
学校の歴史で勉強して、あーあれか、というイメージは誰でも持っていると思いますが、その向こう側には、当然のことながら関わったすべての人の人生があるわけで。
その苦しみ、怒り、悲しみに、少なくとも映画を通じてそれに少しでも思いを馳せることができるということ。
それに何かしら、不謹慎な言い方かもしれないけど、一種の幸せを感じました。
これを見たのと見なかったのとでは、自分の世界が変わってくる。
そういう作品を見ることができた喜びが、確かにありました。
被害者たちの怒りや悲しみの裏には、大切な人を大切に思う愛がある。
企業や国に対する戦いには、人間の尊厳を声高に叫ぶ意思が宿っている。
そういうことなんだなあ、と見ていて思いました。
そういうことを描くことができている映画だと思います。
だからこそ素晴らしい映画になっている。
胸を打たれます。
今なぜ水俣病?とかあまり考えずに、とにかく一人でも多くの日本人に見てほしいですね。