劇場公開日 2022年1月7日

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「窪田と宮沢のロング政治コント」決戦は日曜日 サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5窪田と宮沢のロング政治コント

2022年1月8日
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鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

幸せ

予告のインパクトが強くてそこそこ期待していた本作。だが、政治系の映画はあまり面白くないことが多いのでハードルは下げて見たが、予告以上に強烈なキャラを演じていた宮沢りえ、予告以上に笑える内容でした。

どんな役にも憑依できるバケモノ役者の窪田正孝。
本作でも魅力は大爆発。もう、この人が好きで好きで仕方がない。「初恋」の時の窪田ももちろん大好きだけど、今回のコメディアン窪田も最高に良かった。「穴があったら入りたい」「この場から逃げ出したい」という状況の演技や表情が笑える笑える。仲間に対しての話し方、立候補者に対しての話し方、後援会に対しての話し方、雑に、丁寧に、敬意をもって、弁えながら話している様子が本当に上手い。はいの言い方でもその場その場で印象が全然違う。「お前がな!」「イライラする〜」という気持ちを抑えているんだろうな〜っていう表情とかもよく伝わる。いやぁ〜よかった。

もちろん、宮沢りえもとんでもない。
普段は美しく優しいお母さんとか色気のある愛人とかそういう役が多い宮沢ですが、本作では何もかも覆すような演技。わがままで自分勝手で政治についてどころか漢字もろくに読めないアホで常識知らずの二世候補。こういうキャラクターは原稿を丸丸暗記したんだろうなと感じさせられる棒読みな演説や、急な質問にはろくに返答できないというのがテンプレート。でも、今回は違う。漢字は間違えるけど、文章を覚えることは容易い御用。急な質問にも自分が思っていることをハッキリと言うし、全く動じずむしろ堂々としている。こんな難役を宮沢りえはスっと自分のものにし、個性を開花。キャラクターの面白さもあるが、宮沢りえが演じているというのも面白い。満点の演技でした。こりゃ、日本アカデミー賞取っちゃうのでは?

ストーリー構成としてもよく出来ていて、前半は手につかない立候補者と支える秘書たちのぶつかり合いが描かれており、後半は選挙に落ちることを目標に手を合わせながら色んな計画を実行していく様を描いている。テンポがよく、飽きることがない展開には拍手喝采。心の移り変わりには疑問が残るものの、アクセントが効いていて見応えのある作品でした。

ただ、色々と気になるところが。
先生の話があまりなく、秘書チームは何故こんなにも彼のことを支え続けているのかがイマイチ伝わらなかった。結局、叶えられてないよね?と思ったし。
音尾琢真は急に出なくなるし、当たりが強すぎるんじゃないと思うし、そんなにサラッと流れるものかな?と感じちゃうし。んー、出馬から投票までの短い期間を描いていると言っても、やっぱり政治をテーマにした物語を映画にまとめるのは難しいものがあるのかな〜。

でも、窪田正孝と宮沢りえの2人の掛け合いが見れて大満足でした。2人だからこそ、2人がいたからこそ、まとまった映画だと思います。映画初めにぜひ。

サプライズ