「別要素の綺麗な融合」そして、バトンは渡された movie mammaさんの映画レビュー(感想・評価)
別要素の綺麗な融合
言い方は悪いが、その時の必要性に合わせて夫と暮らしを変えてステージアップする女性、梨花が石原さとみ。
梨花は笑顔が最強の自分の武器だと気が付いている。
だから、笑っていれば3割増。
笑っていれば運が転がり込むと継子に教える。
継子のみぃたんこと優子役は永野芽郁。実母を早くに亡くし、実父はブラジルにカカオ豆の事業に行き置いていかれる。ブラジルとの文通は届かず(梨花に止められている)。
そこから、みぃたんにとって親=ママ=梨花に。
後から振り返れば、寝てばかりなシーンがあったが、元々病弱だったとは。具合が悪くても、海に連れて行くなど、みぃたんに梨花なりにできる限りのことをしていたことが伝わっていたからこそ、優子はママっ子に成長。
でも実父不在となり、梨花は資金を婚活に回し、家庭困窮。泉が関さんという、初婚の妻に先立たれた男の後妻として、新しい夫を確保する。
みぃたんはピアノの夢を叶える事ができた。
しかし泉が関さんは高齢。梨花の体調も悪化。
治療しながら同窓会で次の婚活。
梨花と同い年、東大での森宮さん(田中圭)を見つけ出し、結婚式の場でみぃたんの存在を打ち明ける。
そこからはみぃたん=優子にって、お父さん=森宮さん。
父親が森宮さんで、本当に良かった。
・お人よし
・美味しいご飯で優子がホッとできる居場所を提供し続ける
・父親らしさにこだわるが、それを打ち明けられる、かっこ悪いところを見せることを隠さない本当の自信
・学業
実父は手紙が届かなくても、帰国時に日本に会いに来る事はいくらでもできたはず。それを惜しんだ実父より、森宮さんだなぁ。
田中圭そのものには特にアドバンテージを感じないのに、水上恒史というイケメン枠も、理解がある優しいお金持ちの泉が関さんも出てくるのに、理想的な父親に森宮さんがなるのはやっぱり、ごはんの力=直接的に育てていることが大きいと思う。
その森宮さんの元からも、梨花は治療でいなくなる。
そこで優子とは今生の別れとなったが、
泉が関さんには梨花は治療などで世話になり続けたようだ。
優子の願い、「ママに死んでほしくない」を最期まで貫いて、優子には病気だと悟らせることはせず、亡くなったことも泉が関さんと森宮さんを経由して優子の耳に入るほど。
優子が、「ママに会いたかった。森宮さんがちゃんと見てないからじゃん。」こうぶつけられるのは、森宮さんがしっかり父親だから。それでもママと言うかと森宮さん目線だと思うが、森宮さんという父親いてこその「ママに会いたかった。」こうなるまでにどれだけ森宮さんが頑張ってきたか。とても感激する。
ママの根性と常に笑うところは、しっかりと優子に受け継がれた。男性を見る目は、これからわかるかな。
作中、お肉とフォアグラの融合料理の由来ともなった、音楽家であり料理かでもあったロッシーニが出てくる。
・父親と母親の組み合わせが変わっていく
・ピアノが好きな優子と、料理がうまい森宮さんとの暮らし
・早瀬くんと優子の、全く違う育ち方の2人の、料理と音楽の融合
が出てくる。
全然違う出所であっても、尊重しあい、味わう人に心地よく、綺麗に合わさることは可能なんだなと思わされる。
継父と継母に囲まれ育つ優子だが、下手したら継父に乱暴されたり悪戯されたりしていた可能性もある。
心が綺麗な父親達に恵まれていたから、綺麗な話にまとまるが。でもそういった男性達を婚活から見つけ出し、結婚までまとめてくるのも、梨花の見る目と実力。
元々チョコレート工場にいた時は、全く派手には見えないのに。
失恋ショコラティエの延長のような石原さとみの、衣装を見ているだけでも面白く、スタイリストさんが気になる。
綺麗で可愛く愛嬌がありただの馬鹿には見えない、ちょうど良い美貌を兼ね備えた石原さとみだからこそ、成り立つ継母像。
そして石原さとみがそうした美貌を持つのは、そう見せずにぎっしり努力して磨き上げる石原さとみの現れで、その人格が容姿や表情にしっかり現れ、役にも反映されている。
素の石原さとみの、人に動いてもらう前提の声かけやぶっきらぼうな応答に驚いた事があるが、そうした一面も、役に反映されている。
人って見ているんだなと思わされた反面、
血の繋がりがない間柄なのに、永野芽郁はしっかり石原さとみの娘に見える。
目のぱっちり具合よりも、芯がとても強く根性があるのに、奥の実際を悟った上で、親しみやすい言動をあえて取るところが。
梨花と優子というよりも、女優としての石原さとみと永野芽郁の共通点が見えた気がした。