「泣きたい時ほど笑顔で❣」そして、バトンは渡された bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
泣きたい時ほど笑顔で❣
とにかく、泣けます。
後半からは、ずっと目頭が熱くなりっぱなしで、涙が溢れてマスクがビッショリで、息苦しかった。
本屋大賞にも輝いた瀬尾まい子の原作は、既読。勿論、原作も素敵なヒューマンドラマの心温まるストーリーだった。映像化すると、とかく原作の良さが損なわれる作品もありますが、本作は、脚本と演出、そして出演者の演技の妙が、原作以上の温かな感動を、これでもかと押し寄せて、映像化されている。
最近は、親による子どもへの虐待の事件が、頻繁にニュースで取り上げられる。しかし、本作の様に、父が3人と母が2人もいる特異な形であるけれど、素直に明るく育った主人公・優子を観ていると、こうした家族愛もあるのだと、改めて人と人との絆と優しさを感じた。登場人物それぞれに、相手を思いやり気遣う気持ちが溢れた、心がとても温かくなる内容だ。
物語は、森宮家の高校生・優子と、水戸家の小学生・ミィーたんの2家族のシーンが交互に描かれて展開していく。どちらも実母は既に亡くなり、優子は継父と暮らし、ミィーたんは破天荒な継母と暮らしている。原作を読んだ人は、その関係性も早々見えるだろうが、そうでない人には、この2家族がどう絡んでいくのか、映画で楽しんで欲しい。
また劇中での、卒業式の定番『旅立ちの日に』は、自分も伴奏したり、指導したこともあり、思い出深い曲であるため、そこでまず涙を誘われた。そして、破天荒に離婚と結婚を繰り返す継母の隠された真実に触れたラストシーンでは、涙が止まらなかった。
主役の永野芽衣と田中圭の2人は、原作通りのキャラクター。永野芽衣の演技演技していない、自然な明るさや素直な演技が、ホントに魅了された。そこに、ちょっと風変わりだけど、ほのぼのした継父役の田中圭もこれまたピッタリ。そして、破天荒な継母役の石原さとみのケバケバしさも、これまた他には考えられない配役(笑)。そして、大森南朋と市村正親の主役を温かく包み込むような、ベテランならではの演技も素敵だった。
継母の言葉の「泣きたい時ほど、笑顔でいること」を貫き通した優子と、血の繋がらない親達が、ゆっくりと親子の絆を深めていく物語です。年頃の娘を持つ親として、いろんな意味で、思いが重なるシーンもあり、父親目線で主人公・優子の成長を見守ってしまった。
この作品は、多くの人に観て欲しい、素晴らしい作品です。