「バトンを巡る過程までが単調、しかし後半の起伏が上手い」そして、バトンは渡された たいよーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
バトンを巡る過程までが単調、しかし後半の起伏が上手い
永野芽郁、石原さとみ、田中圭などのキャストも登壇したジャパンプレミアにて初鑑賞。トークあり、CMで良く観るプシュー!というテープ吹雪ありのアレとか見れた。
結論から言うと、前情報は抜いておきたかった…後悔が強い。「秘密」と「嘘」を巡る優しい家族の物語であるが、そのリードが強すぎて、ややミステリーなイメージで構えてしまった。また、序盤から中盤は概ねドラマの起伏も少なく、唐突な切り替えと辻褄を合わせるように進む展開に入り込めなかった。何より小説とは違い、視覚による情報が作品そのものの明瞭さを写してしまう。これは映画故の難しさではあるが、勘ぐってしまう様なシーンはやはり勿体ない。
しかし、音楽というものは凄いもので、「旅立ちの日に」が不思議と優子自身を巡る物語の主題歌となっていく。また、その変化もフラッと自然体に演じてしまう永野芽郁のポテンシャルにただ驚かされる。自身の核を残しながら喜怒哀楽を演じられる。そんな彼女だからこそ魅せられる表情が本作では輝きを放っており、舞台挨拶でのおっとりとした立ち振る舞いも1つの才能のよう。個人的にオススメなシーンは、ベランダに足をかけてボーッとするシーン。画になるし何より、可愛い。笑
一方、石原さとみもそのオーラを感じさせながら作品のリレーの中心を走る。少し綺麗すぎるシングルマザーを夢中で演じているのが良い。子役のみぃたんと休憩中も遊んでいたと言うが、その睦まじい様子も今となってはホッコリ思える。
中盤からグルっと作品が動き出すとき、それぞれの意味が形となって輝き出す。その時の田中圭はやはり愛嬌があり、使われる理由につい納得する。フラッとしつつもビシッと切り込む様子は舞台挨拶でも光っていた。その連帯が上がっていく過程がラストの温かい余韻へと繋いでいく。
なるべくネタバレと作品のミソをかわして書いてみたが、結局言いたいのは、何も考えずただ起こる事を受け止めて観てほしいということ。作品の持つ暖かさと有り難みを感じられるはず。ぜひ、ハンカチを持って家族と観てほしい作品。