劇場公開日 2021年10月29日

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そして、バトンは渡された : インタビュー

2021年11月16日更新

【ネタバレあり】永野芽郁×田中圭×石原さとみ 「そして、バトンは渡された」公開後だから話せること

(左から)田中圭、永野芽郁、石原さとみ
(左から)田中圭、永野芽郁、石原さとみ

第16回本屋大賞を受賞した瀬尾まいこ氏の小説を映画化した「そして、バトンは渡された」(公開中)。主人公・森宮優子役の永野芽郁、優子の義理の父・森宮さん役の田中圭、自由奔放な魔性の女・梨花役の石原さとみが、公開後の今だから話せる撮影の裏話、感動したシーン、本作の魅力を語り合った。

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4回苗字が変わっても前向きに生きる優子(永野)と義理の父・森宮さん(田中)。そして、シングルマザーの梨花(石原)と義理の娘・みぃたん(稲垣来泉)。ある日、優子のもとに届いた母からの手紙をきっかけに、2つの家族の“命がけの嘘”と“知ってはいけない秘密”がひも解かれていく。公開初週は週末興行収入ランキング実写邦画1位の好スタートを記録。公開してから3週目となる11月13・14日の興行収入は、全体の約24%の劇場が前週・前々週よりも上回っており、なかには178%アップした劇場もあるなど、口コミによりリピーターが続出している。

※本記事は「そして、バトンは渡された」のネタバレを含む内容となっております。未見の方はご注意ください。
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――永野さん演じる優子とみぃたんは同一人物で、石原さん演じる梨花と実は親子という関係でした。宣伝期間中は隠すことが多くて大変だったと思いますが、いかがでしたか?

石原:何を言っていいのかわからなくて大変でした。「優子ちゃん」とは絶対言ってはいけないし、みぃたんの話に特化するにしてもしゃべりたいことがいっぱいあるので、本当に難しかったです。お2人も難しくなかったですか?

永野:私は森宮さんとのお話をさせていただくことが多かったのですが、梨花さんのことについても言いたい、でも言わない方が良いのかなとか、結構ギリギリな感じでした。

田中:難しかったですよね。宣伝活動をしている時に「2つの家族」という言葉をよく使用していましたが、芽郁ちゃんが途中から「2つの」という言葉を使わなくなっていました。本当は梨花も同じ家族だからっていう気持ちはすごくわかったのですが、それによって芽郁ちゃんが悩んでいて、僕はそれを見て頑張れって思っていました(笑)。

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――親子という関係ながら、永野さんと石原さんの共演シーンは少なかったです。お2人が初めて現場で会ったときはどんな様子でしたか?

永野:1週間くらいから前から初めてお会いできることがわかってたので、その日からちょっとソワソワしていました。ずっと見てきた石原さとみさんというすごい女優さんに会えるっていう気持ちと、ようやくママに会えるんだっていう気持ちを持って現場に行ったのですが、すごく感動しました。

石原:私もカメラを回して欲しかったくらい、すごく感動的な瞬間でした。みぃたんへの愛情も募っていましたが、優子への愛情も育てていたので、やっと会えた瞬間は震える気持ちでしたね。優子の卒業式のシーンでお会いできたのですが、ピアノを弾いている我が娘を見てすごい頑張ったんだな、上達したんだなって回想していました。あのシーンはみぃたんの姿も(本編映像の中で)フラッシュバックで入るのですが、撮影を見ながら泣けてきてしまって。親子として過ごせたのはたった数日ですが、とても長く感じるくらい尊い時間でした。

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――撮影は同時進行でされていたそうですが、お互いの映像はご覧になっていましたか?

永野:みぃたんのシーンはほとんど見られなかったので、事前に撮ったデータをいただいて、実際にみぃたんがママと過ごしたんだろうなっていう時間を映像で見て、脚本から想像するという作業をさせてもらいました。撮影が始まる前からみぃたん役の稲垣来泉ちゃんと雰囲気が似てると言っていただいたので、寄せ過ぎず素直にパパやママと話している感じが似たらいいなと思っていましたが、完成作を見たら涙の出し方が似ていて驚きました。

石原:確かに2人は泣き方がすごく似ていて、びっくりしました。 私はクランクイン前にみぃたんとの親子関係を作る時間で撮った写真を携帯の待ち受けにしていたのですが、そこから成長して、撮影中に芽郁ちゃんの写真を待ち受け画面にして、会えない時間でも愛情を強くしていきました。梨花は優子に笑顔でいることを教えていたので、それが表れているようなニコッとした笑顔の写真を選びました。

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――田中さんと石原さんはこれまでもさまざまな作品で共演されてきました。今回は特殊な形での共演になりましたが、改めていかがでしたか?

石原:やっと結婚できましたね。

田中:そうですね。

石原:今までは思い合っているけれど、絶対に成就しない2人っていう役が多かったので。でも今回も成就したのに一瞬で離れるっていう、やっぱり田中さんと共演するとこういう感じなんだって思いました(笑)。

田中:すごい嬉しそうに言うじゃん(笑)。 共演もそうですが、さとみちゃんとはプライベートでもしゃべれる関係なので、本当に安心感しかなかったです。

石原:私も同じです。この映画の直前まで同じ作品をやっていたので、この映画の話もその撮影中に話していて、「森宮さんは本当に素敵だから、やったほうがいいよ」って出演が決まっているのに言っていました(笑)。田中さんの演じる森宮さんの優しい話し方や、包み込むような温かさ、漂っている匂いがスクリーンから伝わってくるので、どんなシーンでも優しい空気が流れていました。私は本当に素敵な男性をみぃたんのために選べたんだなって、見ていて安心しました。

田中:嬉しいですね。ただ、僕も完成作の優子ちゃんを見ながら、こんなに素敵な子のお父さんになれて嬉しいなって、一人でどや顔するくらい自慢でした。

――公開後ということで、ネタバレを気にせずにそれぞれ感動したシーンを教えていただけますか。SNSなどでは、鑑賞者から「泣いた」という感想も寄せられています。

永野:私は完成作を見て2回くらい泣きました。1回目は、森宮さんと梨花さんの結婚式のシーンです。自由奔放だけれどみぃたんを思って森宮さんを選んだ梨花さんと、初めて会ったみぃたんのこともすべて受け入れる森宮さんの姿が、優しさと愛にあふれているなと感動してすごく泣いたんです。もう一つ、泉ヶ原さんの家で森宮さんと優子が喧嘩するシーンは、そのときの撮影のことを思い出して泣きました。

田中:僕は撮影の時を思い出していないですけれど(笑)、そのシーンの優子ちゃんを見て泣きました。優子ちゃんは森宮さんに感謝はしているんだけど、喧嘩はしたことがないって言っていたのに、梨花のことでお互い感情的になって初めて喧嘩をすることができたんです。悲しい場面でもありますが、優子ちゃん自身や2人の関係性が進む場面でもあるので、ぐっときました。

石原:私は優子の卒業式のシーンですね。芽郁ちゃんがピアノを弾いているだけで、「よく頑張ったね、すごいよ、ちゃんと見ているよ」って思いながら感動しました。卒業式のシーンに梨花がいたことは宣伝活動でずっと言えなかったので、今やっと言うことができました。

田中:わかります。卒業式のシーンは、本当に「芽郁ちゃん頑張ったね」っていう気持ちが出てきちゃいますね。

――ありがとうございます。最後に、鑑賞済みの方でもまた映画が楽しめるようなおすすめポイントを教えてください。

永野:私自身そうだったのですが、1回目の鑑賞はどこかに感情が入ったり考えたりしながら見るよりは、気付いたら物語が進んでいて感動しているっていうくらい、いろんなことが詰まっている作品だと思います。2回目はもう少し家族を見て、今こう思っているんだなって想像しながら見ていただけたら、また見え方が変わって楽しめると思います。

田中:2回目の鑑賞は、梨花の行動する理由や感情が1回目より入ってくると思うので、それぞれの優しい気持ちに存分に浸かってほしいなと思います。もう一つネタ的なことを言うと、森宮さんが愛情を持って優子ちゃんにご飯を作っているなかで、芽郁ちゃんの苦手なトマトの料理が何個出てきたかを数えてほしいです(笑)。

石原:1回目も泣けると思いますが、なぜ泣いているのか深く理由がわからない涙だったと思います。2回目は笑顔のシーンの時ほどもっと泣けると思います。誰かが泣いているシーンより、みんなが幸せなシーンをたくさん浴びてもらいたいです。

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