劇場公開日 2023年3月17日

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「故石森章太郎コミカライズ版の映像化作品」シン・仮面ライダー Zoetemelkさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0故石森章太郎コミカライズ版の映像化作品

2023年4月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

庵野秀明氏の「シン」シリーズのうち「シン・ゴジラ」は未鑑賞なので、「シン・ウルトラマン」との比較論になります。
「シン・ウルトラマン」が設定や物語を再構築しなければならなかったのに対し、この「シン・仮面ライダー」は、約半世紀前からの社会情勢の変遷に伴う団体(SHOCKER)や登場人物の背景事情や撮影技術の進歩による演出の変更を除き、故石森章太郎コミカライズ版の基本的な物語に殆ど手を入れず映像化させた作品との印象を持ちました。この映画のストーリーがそれなりに破綻なく成立しているのは、石森が作り出した物語のクオリティーの高さに因るものだと思います。
コミカライズ版を連載当時に読んでいた我々の世代には、「成程、そう来たか」という共感を抱く者が多いと思うのですが、そうでない方々にとっては、当時の石森の抱いていた社会感等が皮膚感覚的に合わないということなのかも知れません。この辺りがこの作品の評価が上がらない要因かと感じています。
当時小学生で近所の友人たちと「仮面ライダーごっこ」遊びをしていた直撃世代の私にとっては、非常に楽しめた映画でした。採点のマイナス1点は、例えばサイクロン号はHONDAではなくSUZUKIであって欲しかったとかいった、自身の過去の体験等から来るどうでも良いような細かな点の積み重ねです。こうした庵野秀明氏を初めとする作り手の皆さんに対する共感に基づくものですので、全ての方々と共有できるものではないと思います。

Zoetemelk