「冒頭から引き込まれて期待しましたが…」シン・仮面ライダー nakadakanさんの映画レビュー(感想・評価)
冒頭から引き込まれて期待しましたが…
テレビシリーズの仮面ライダーは、子供の頃にスーパーワンを見ていたような記憶はある、初代ライダーは懐かしの映像などで見たことがある、という程度の者です。
「シン・ゴジラ」が面白かったので、こちらも興味があって観に行きました。
冒頭のスピード感ある展開に引き込まれ、予想外のバイオレンスな描写に唸らされ、人ならざる力を手にした恐れや正義のための暴力の是非など、そういったテーマを扱うのかと期待させられました。
池松壮亮の演技や佇まいも、そんなダークヒーローの哀しみや優しさを表現するのに合っていたと思います。
昭和感のある特撮アクション、唐突な場面切り替えなど、シュールさのあるシーンも楽しめました。
商店街を歩いていると段々と背後に人が、そこへスーツ姿の敵が飲み屋から出てくる、このシュール感なども好きです。
とは言え、楽しめたのも前半あたりまでで、後半の家族の情に訴えるような流れや暗い空間でのCG感の強い戦闘シーンなどは個人的にはイマイチでした。
現実世界に非現実的なものが現れるという映像が特撮の面白いところではと思うのですが。
なので、蜂オーグ戦や蝶オーグ戦など、暗い広い現実味のない空間で戦っているのはさほど面白いと思いませんでした。
変身シーンやアクションの動きなどは良いと思うところもありましたが。
正義と暴力のあり方について描かれるのかと期待してしまったため、本郷の苦悩も何となくな雰囲気でフェードアウトして、ルリ子の家族の物語にスライドしてしまったのも、うーん…と。
ルリ子が急に甘えてきたりするところも、本郷との信頼関係ができたという描写かもしれませんが、キャラが変わり過ぎではと思ってしまいました。
急に信頼してますよとアピールするようなやり取りを入れなくとも、食事のシーンなど淡々としたやり取りながらも、それが積み重なって信頼関係ができていたという感じでよいのでは?と。
なので、ルリ子の残したメッセージの場面なども、そんなに響かなかったというか。
ラスボスが結局家族の情にほだされるような展開も、イマイチと感じてしまいました。
用意周到というセリフも、あまり乗れなかったというか。
用意周到と言う割には隠れ家に侵入されていたり、なんだかなと思ってしまいました。
出演者の演技などは良かったと思います。
池松壮亮と対称的な柄本佑の爽やかさも好感が持てましたし、浜辺美波のクールビューティーぶりも良かったです。
怪人たちもそれぞれのキャラクターを上手く表現する演技だったと思います。