「春のタイムマシーン」シン・仮面ライダー Toninuさんの映画レビュー(感想・評価)
春のタイムマシーン
映像がグロテスクだとか、CGが陳腐だとか、ストーリーが暗いとかといった批判が多いですね。でも、それこそが監督が作りたかったものなのです。
つまりこの映画はテレビ特撮としての仮面ライダーの再現、さらには仮面ライダー1号、2号の時代、オイルショックのあの時代を再現する映画なのです。
グロテスクで、陳腐で、暗い世相、それが昭和仮面ライダーの登場した時代そのものなのです。
この作品はタイムマシーンだと思います。50代後半の私は、小学生時代の土曜日7時半に戻ることができました。まだ生まれていなかった人は、令和という離れたところから昭和を眺めるのではなく、ぜひこの時代を体感してください。体感というのは、映画というメディアだからこそできる経験です。
庵野監督作品には変な用語が沢山でてきて、話が理解できない、という方も多いようですね。大丈夫です。無視してください。
庵野監督の繰り出す変な用語は、雰囲気作りのためのブラフなのです。エヴァは難解なストーリーが話題になったので、何か背後にしっかりとしたストーリーや思想の様なものがあるのではないか、と詮索している人が多いですよね。でも本当は何もありません。何も無いからこそ、ただ難解な用語を感覚でばら撒いたからこそ、エヴァが難解な作品であると当初誤解されていたのです。
庵野監督は感性の巨人なのです。理性的なことはほぼ無視しているからこそ、素晴らしい作品が生み出せるのです。庵野ワールドは考えるものではなく、感じるものなのです。
だからこの作品は、映画史に残るタイムマシーン映画となることができたのです。
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