「もの凄く良かった けど…個人的にどうしても納得いかない点が一つ」シン・仮面ライダー LakeWoodさんの映画レビュー(感想・評価)
もの凄く良かった けど…個人的にどうしても納得いかない点が一つ
映画そのものはド・ストライク世代でもあり、庵野監督の作品はほぼ見ているので大変楽しめました。庵野監督の原作や石ノ森章太郎作品に対する愛とリスペクトに満ち溢れた作品だと思います。冒頭から「お!そう来たか!」「なーるほどそうしたのか!?」「おっとそれも入れたのか?!」と終始ニヤニヤしっぱなしでした(笑)(蜘蛛オーグとの戦闘でいきなり新1号の必殺技がさく裂したのは感動でした)
が、そういった小ネタ満載に限らず、庵野監督がこの作品を通して何を伝えたかったのか?その本質もよく分かりましたから、CGのチープさやアクションのもたつきも逆に意図的なのだと理解します。結局はEvaと同じだろ?とおっしゃる方もおられますが、それこそ人類の幸福という普遍的テーマですから被っても致し方ありません。また2時間という限られた尺の中であれだけ詰め込むのも良くやったよなぁと思っています。見終えて胸が熱くなりました。
本郷猛役に池松壮亮氏を起用したのも、見る前は「池松さんって背も高くないし藤岡弘、氏みたいな熱血でもないのにどうしてだろ?」と思っていましたが、本編を観て納得できました。あのモッサイ演技・雰囲気こそがこの作品の本質に迫っていると思います。逆に2号役の柄本氏がちょっと明るすぎ、軽すぎかな?(笑)
そのような中でどうしても個人的に納得いかないのが…ラスボスのデザインと名称(仮面ライダー0号)です。Kを見てニヤリ!Jを見て更にニヤリ!イチローと聞いてニンマリ!(JはジローのJだし)、そこで蝶オーグと聞けば「おお!あの戦士も出してくれるのか!!」と嫌が上にも期待が高まった訳です。確かにそこにあの自由の戦士のオマージュはありました。その背後に大きな翅も広がっていました。ところがイチローは「仮面ライダー0号」を名乗り「変身」を口にしました。(まさか01とも引っ掛けたかったのか?!なら「チェンジ!」だろ?)それでもこの時点ではまだ期待を持てました。イチローの額が割れて自由の戦士の特徴たる渦巻きが出てきて「おー!キターっ!!!」ところが…その渦巻きは何故か引っ込み、イチローは仮面を被り、ベルトが露出すると「え?ダブルタイフーン?V3?!」「え?まさかX?いやRX??」「555のデルタにも見えるし…」「でもJが出て名前はイチローなんだからやはり01…え?」「え?触覚は??自由の戦士は何処に行った!?」「マフラー白じゃなくて黄色にしてくれよ!!」そのデザインにひたすら混乱し、あれこれと悩みましたが結局今でもよく分かりません。あのデザインを通して庵野監督は何を伝えたかったのか???ここは是非皆さんのご意見をお伺いしたいところです。特に岡田斗司夫氏の見解は必須ですね(笑)
しかし、もし小生が勝手に期待したようにイチローが「超力招来!」などと叫んでバリバリ~ドッカーン!したら…多くの観客は大爆笑、或いは「庵野!観客をバカにしてんのか?」と憤慨し椅子を蹴って劇場を後にしたことでしょう。だから庵野監督の選択が間違いだったとは思いません。思いませんが…それならいっそタルタロス星人のオマージュも入れてよー!と思ったりもする訳です(でもそれはそれで観客の怒りを買うよな…)
故に、蝶オーグは蝶オーグらしく蝶を基調デザインとし、決して0号など名乗らず、本郷達に雷を落としてプラーナを奪う、泥臭い肉弾戦(それはそれで分かるけど)ではなく、基本宙に佇んだまま…辺りが良かったのでは?と思っておりますが如何でしょうか?
或いは最初から蝶オーグなど登場させず、ラスボスはトカゲオーグにして爆弾と心中させるとか、完全オリジナルのトンボオーグ(オニヤンマ=最強昆虫、V3はトンボだし)にしてバッタオーグをバリバリ喰らう…方がまだ納得いきます。
いっそ…J、イチロー、Kと登場させたのなら…アクマ族の裏切り者やらサイバロイドのSゼル&Gゼルはどうよ?!とかAIが要塞に変形・飛行してグラビトン浴びせてももいいだろー!とか妄想が広がる訳です。(そこまでやったらダイコンⅣも超えるな(笑))そんな楽しい妄想に誘ってくれる本作品と庵野監督にあらためて感謝!!(笑)