劇場公開日 2023年3月17日

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「賛否両論にショック……」シン・仮面ライダー Kudoさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0賛否両論にショック……

2023年3月19日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

シン仮面ライダーの世界観とは、改造人間の開発と運用実験による疫病対策だった。
だから一般人の絡まない閉じられたセカイ系での物語になった。
果たしてそれは疫病に耐えられる改造人間の社会構築か、はたまたノアの箱舟計画としての地球脱出か。
人類の半数が死滅した世界での社会実験。そこで叛乱が起きたというお話。

そのように捉えられるから面白く観てました。

政府と謎のロボットKに観測されている閉じられた世界で起きた対立。例えばイチローのようなバグと緑川の叛乱……そのバグとしての脅威をどう始末していくかが、ずっと繰り返し訓練されている。実際にはショッカーも叛乱組織もないのかもしれない。

そんな中で、自立した仮面ライダーという存在が現れた。脅威というよりユニークな存在である。友情をはぐくみ戦い続ける事を誓う自由な戦士の登場に、政府の男たちは目を細め、行く末を見守ろうとしたところで物語は終わる……。
これが隠されていたプロットだと妄想して、独り楽しんでます。

何だか後半の庵野監督の作家性が、観客を置いてけぼりにしたとか言われてますが、そもそもエヴァンゲリオンやアニメのセカイ系で見慣れた展開なのに今さら付いていけないとか、あり得ない。

この否定的な意見があふれるのは、ジョーカーのときと似たような感覚。
ダークナイトのような悪役としてわかりやすい空想キャラクターを求めていたのに、現実に近いリアルキャラクターが出てきて拒絶反応であふれたときの状況を思い返すほど。

そのフィクションの世界観や設定は、自分が把握できないと楽しめないものなのか?
謎は謎のままとして、余白を楽しむ余裕はないのか?
描かれなかったところを自分の想像力で埋められないのだろうか?

シン仮面ライダーは充分にエンタメしていたし、ライダーやサイクロンのカッコ良さもあり、そしてバットマンのような孤高のヒーロー感もあった。
独りでありながら独りではない、友情を得て、共に旅立つライダーの去る姿は、日本の孤高なヒーローとして認められても良いのではないか……。

思い入れでしかないと言われればそれまでかもしれないが、しかし映画は観客個人の思い入れがないと心の歴史には残らないのも、また確かなのだ……。

Kudo
かせさんさんのコメント
2023年7月23日

人生経験の違いから理解できる範疇が違うのは当たり前なので、どんな作品にも賛否ありますから。
自分はこの映画、大好きですよ。

かせさん