劇場公開日 2024年3月1日

「助けてあげる」コットンテール サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0助けてあげる

2024年3月7日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

怖い

幸せ

亡くなった妻の最期の願いは、「遺骨をイギリスのウィンダミア湖に撒いて欲しい」というものでした...。《遺骨を撒く》という作品、自分は「川っぺりムコリッタ」や「アイ・アムまきもと」が思い浮かぶんだけど、このテーマを扱うものは意外にもパッと明るいコメディが多い。だけど本作は、亡くなった妻が認知症だったこともあり、胸がじりじりと痛くなるような、なかなかに重い作品になっている。永遠の課題である《延命治療》についても取り上げながら、助けるとは何かと考えさせられる。

キャラ設定、人物描写がとにかく秀逸。
もうそんな歳じゃないのに、孫に対して“いないいないばあ”をやって喜ばせようとする兼三郎。これだけで、不器用だけど心優しい人だと分かる、分からせるのすごい。それに対し、子どもはおじいちゃんを喜ばせるために愛想笑いをする。息子、息子の嫁だけでなく、孫までも自分に気を使っているという状況。虚しくなるんだけど、演出のあまりの上手さに笑っちゃった。そんな不器用で身勝手な父に、息子のトシが何も言わずギュッと抱きしめるシーンもまた、すごくホッコリした。

リリーフランキー、錦戸亮、木村多江。本物の家族に思えるし、3人とも言葉に出来ないほどの演技力。リリーフランキーは自由奔放に動き回っている様子がめちゃくちゃハマっていて、ポスターにもある、大自然の中を自転車で放浪するシーンはこの一瞬のためにキャスティングされたんじゃないかレベルで最高だった。錦戸亮も雰囲気にピッタリで、怒り、寂しさ、苦しさを繊細な顔の演技で見せてくれた。いいなぁ、錦戸くん。木村多江は、背筋が凍るほどリアル。上手い、上手すぎる。呻き声がグサグサ刺さる。葬式のシーン後に惨いシーンがあるため、2度目の方が感情揺さぶられそう。

自然の美しさを映し、生きることの苦しさを描く。地味でどっと悲しくなる作品ではあるけど、あの終わり方には希望が持てたし、エンドロールは余韻に浸りっぱなしだった。イギリス・ウィンダミア湖。本当に美しい場所だ。日本人キャストがそんな中でも浮き彫りになっていなかった。この調子で、海外の監督さん×日本人俳優で沢山映画を撮って欲しいな。

サプライズ
トミーさんのコメント
2024年3月8日

孫とのシーンはイタかったですね~何で親が探し回るまで帰って来ないかなぁ。高梨さんの対応も無理ないと思いましたが、ちょっとイラッとしました。

トミー
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