「冴えないオッサン版ジョン・ウィック」Mr.ノーバディ ハルクマールさんの映画レビュー(感想・評価)
冴えないオッサン版ジョン・ウィック
とでも言うべきか。考えてみればどっちも覚醒のきっかけはなんだか大した話ではない気がするが…。
奥さんの実家の金物工場で働くハッチは、毎日同じバスで通勤し老人ホームにいる父親に会って家に帰る単調な毎日を過ごしている。ある日の夜遅く、二人組の強盗が家に押し入り金目の物を物色しているところをハッチが見つけるが、机の上の入れ物にあった数ドルを掴み逃げようとする。息子が一人を取り押さえるも、ハッチは息子に手を放すよう言い、息子が手を離したすきに殴られ、二人の強盗は逃げていく。
そんなことで、ますます家族から情けない父親のレッテルを張られる。
まあ、ここまでが前フリ。当然冒頭に出てきた太々しいハッチが本物、こちらは世を忍ぶ仮の姿。ある、実にしょーもない事がきっかけで彼はバスの中で大乱闘を繰り広げる。
ここの立ち回りで、こりゃあ只者じゃない感が一気に高まる。
そしてその大立ち回りの相手の中にでっかい組織に身内を持つ者がいて、主人公は行き掛かり上その大きな組織を相手にすることになる。
とか、この辺りの流れはもう、お題に挙げた言葉そのものなんだけど、まあジョン・ウィック様は普通にしているつもりでも只者じゃないオーラが隠し切れなかったけど、こちらは本当にごく普通のおっさん。傷の手当てで服脱いで見せる裸もバッキバキではありません。
だけど、なんというか人のシバキ方を熟知しているというか、攻撃が容赦なくて結構イタタってなるものが多い。スマートさではなく、もう肉弾戦の泥臭さ全開。
この映画のキモはまさにここ。とにかく創意工夫で人を痛めつける。殺人DIYが炸裂しまくる。それが、ひと思いに脳天バン!ってやるのではなく、結構痛々しい。グロ描写もそこそこにありなので苦手な人はちょっと注意なのかも。
出来事に対するキレっぷりのバランスが序盤は若干おかしいか?と思うけど、まあ細かいことは気にせずいこう。
あとは助っ人の存在。もう誰かは言えないし何となく途中で、もしや、って思うんだけどもう愉快痛快。XXが活躍する映画は鉄板で面白いの法則通りの映画だった。
正直、やられた方が思いっきりの流れ弾でご愁傷様だけど、まあどこを切っても悪そうなのでやられてよし。悪が100%の悪なので、やられ側への感情移入は皆無。大変清々しく主人公の活躍を見守ることのできる安心設計。
ちょっとプロットがジョン様寄り過ぎなのが若干の減点。だけど短い尺で起承転結きっちりあって、冒頭の件にちゃんと戻ってスッキリ爽快。
あー楽しかった、と観終われる余韻は娯楽映画として十分合格点だと思う。
まさに、
アー、楽しかっな・・・ですよね!!
一見も二見(?)も、見るからに弱々しいオジサンが豹変して
殺人DIY(?)・・・この造語面白い!!
意外性の勝利でしたね!!