劇場公開日 2021年6月11日

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「ナメてた相手が実は…家奇襲 by ロシア人!最高におもしろいポスト・ジョンウィック」Mr.ノーバディ とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ナメてた相手が実は…家奇襲 by ロシア人!最高におもしろいポスト・ジョンウィック

2021年6月11日
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※読み終わる前に息絶えないでください。

みんな大好き演技派ボブ・オデンカーク × 一味違う【"ナメてた相手が実は…"モノ(ex.『ジョン・ウィック』)】。しかし、本作の何者でもない主人公ハッチは比較的現実的な強さな気がした。いや、むしろ家庭人としてブランクが空いたからこそ予告にも使われているバス車内の戦いにおいて、エンジンがかかるまで多少時間がかかっても、目覚めたと言って過言ではない。"会計士"をナメるな!

"I'm gonna fuck you up." こういうのは普通、定石として、本人は静かに隠居しておきたいと思っていて穏便に済ませそうとするが、バカな悪党どもに起こされ・引っ張り出された結果、ぶちギレて敵壊滅というのがお決まり通説な気がする。だけど、本作の彼は《もっと純粋に生き生きと輝いていた》!そう、本作は【中毒】についての作品でもある。ネコちゃんのブレスレットなんて口実、金をチラつかせて襲ってくるのを待つみたいに。冒頭から描かれるように代わり映えのしない退屈な日常の繰り返しが続いていくのなら、キッカケを見逃さず自分を楽しませればいい。刺激に満ちた日常 = 非日常をしばし作ればいい。そう言わんばかりに、主人公と一緒に観客も悶々としたものを解き放つ爆発カタルシスは、確かにタイトル通りある種何者でもない匿名性・普遍性、間口の広さがあるかも。中年の危機とオサラバして最後にもう一花咲かせるゴング。終盤父親自身も認めるようにある意味中毒な快感、忘れられない輝しき栄光の日々グローリーデイズについて。それによって(まさかの)『ヒストリー・オブ・バイオレンス』的に家族もハッピーな円満の秘訣?
どちらと言えばコメディ演技も多めにふと溢れる悲哀や人生経験を感じさせるドラマ演技の印象が強かった名優ボブ・オデンカークに、アクションスターとしての道・新境地を切り開く最高のポップコーン映画だ!…って話してるのに死んでるのかい。

FRONT TOWARDS ENEMY
デレック・コルスタッド脚本 × ロシア敵。この人、【家に大人数で襲いかかってくる】の好きすぎるだろ!もはや鉄板。コレコレと言いたくなる【金太郎飴】的快感。実際おもしろいから大いにいいのですが、ロシア人に恨みでもあるのか?あと、やっぱり『ジョン・ウィック』のコンチネンタルのように燃える&笑える展開や設定を考え出すのが上手い。これ思いつきたかったとなるくらいズルい、素直に好き。きっとこの人の頭は良い意味でチャイルディッシュ子供のままなのだろう。細部に(世界観の)魂が宿ると言うようにコミックブックから飛び出したような小粋な瞬間が随所に散りばめられている。製作にはデヴィッド・リーチも。
"Don't call 911." 肝心のファイティングスタイルとしては最初の方こそ腕時計、バット、包丁、やかん、皿からの消火器など日用品を使ったもので、ホームセンターで働くイコライザー = マッコールさんばりな部分もあった。『ジョン・ウィック』シリーズみたいにクールなテロップは無いけど、その代わりと言ったらなんですが、選曲がよかった。

クリストファー・ロイド × RZA。家族総出でやりすぎド派手粛清タイムが、待ってましたと言わんばかりに景気良すぎパーティータイム!『ジョン・ウィック』で言ったら、ウィレム・デフォーで(実戦共闘はないけど)ジョン・レグイザモみたいな。『ランボー/ラスト・ブラッド』よりカタルシス気持ち良さ多めな殺戮『ホーム・アローン』ピタゴラスイッチ状態で、工場が戦場と化す終盤はアイデア込みで圧巻。特に勝ち方最高、ある意味画期的。まだこんな方法があったかと目からウロコな気持ちでした。あと、コーヒー飲みすぎ。

P.S. 地下室大事。劇中で「黒人のロシア人なんて初めて」みたいな下りがあったけど、最近見たドラマ『ザ・グレイト』にも黒人のロシア人がいた。あと、また余計なもの付いている邦題はワイスピシリーズのカート・ラッセルに引っ張られた?

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"It is what it is. This is me."
勝手に関連作『ジョン・ウィック』『イコライザー』『ヒストリー・オブ・バイオレンス』『ジャック・リーチャー』『デス・ウィッシュ』『ランボー/ラスト・ブラッド』

とぽとぽ