劇場公開日 2021年8月20日

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「【ビバ!ワカモノ】」うみべの女の子 ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【ビバ!ワカモノ】

2021年8月23日
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舞台挨拶で、司会の女性が、登壇者の俳優たちに、中学生の夏、何をしてましたか?という質問をしていた。

回答をそっちのけで、自分は何をしていたか、思い返してみたが、普通に部活だった。
中二も中三も、夏休みには全日本の大会があったし、秋にも大きな大会を控えて練習に練習の日々だったような気がする。

だから、本格的に性に興味を持ったのは、高校生からだ。

それに、高校時代の夏は、確かに、彼女の時間に占める割合は増えたけれども、部活が中心の生活には変化はなかった。
勉強も、中学時代は授業だけでやりくり出来ていたところが、やっぱり、それでは不足するなと考えるようになっていた。

こんなんで、誰かに振られた穴埋めに、他の誰かと付き合うとか、寝ちゃうとか、そんなんは大学生になってから経験したことだった。社会人になってもあった。

これは、年齢や男女、関係ないように思う。

だが、「朝が来る」を観て、あれは真剣に社会が取り組む問題だなと思ったりする反面、この作品を観て、良く良く考えると、”中学生でってかー?”と思ってしまう自分もいる…。

(以下ネタバレ)

人は、今、不足している何かを埋め合わせたいと思うものだ。

特段、問題もなく、不自由もない家庭で育った小梅。

もしかしたら、何不自由なく、過不足なく育ったからこそ、ちょっとした失恋が耐えられなくて穴埋めが必要になったり、普通でありすぎるからこそ、人より先に経験してみたいという冒険心みたいなものが湧き上がってしまうのかもしれない。

脚が不自由な兄へのイジメで転居し、しかし、再びのイジメで、その兄が自殺してしまった磯辺。

家族はバラバラで、何か不足しているというより、自分の湧き上がる怒りのような感情を抑え込むためにセックスを欲しているかのようだ。

求め合うふたり。

だが、ちょっと待て!
これは、その部分を取り上げた、ちょっとしたトラジディック・ストーリーなんだろうか。

僕は、この原作は読んだことはないけれども、この作品は、ここに描かれた暴力的な部分も含めて、全て受け入れて見せているのではないのか。

うみべの女の子とおんなじ学校に行きたいとか、その後、彼氏できたとか、キスしてみたとか、圭子と付き合ってたけど…とか、マネージャーで甲子園目指すのも悪くないとか、いろんな過去を最後に受け流して見せているのだ。

こうしたことを乗り越えながら、若者は成長し、それぞれ生きて行くのだと。

まあ、若い頃から、やりすぎるのは良くないとは思うけどね笑笑

ワンコ