「おそらく、のんさんが好きな方か、美大生の方を想定した映画?」Ribbon yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
おそらく、のんさんが好きな方か、美大生の方を想定した映画?
今年65本目(合計338本目/今月(2022年3月度)7本目)。
大阪市では2週間遅れ、それもミニシアターで1日2回という寂しい状況の中見に行きました。
もうすでに多くのレビューがあるし、結局のところ、「コロナ事情と芸術活動」という論点、さらに、「のんさん」の応援枠という解釈が普通なのではないか…と思います。
特に初監督である(ここの公式サイトより)ことも考えると、ある程度わかりにくい点や、妙にストーリーが飛び飛びになっている点等はあるものの、そこは減点対象ではない状況です(それまで0.5単位で引いてると、新しい監督さんが委縮しちゃう)。
個人的には上記の通り、大阪市では2週間遅れ公開でここである程度の情報を得ていたので、行政書士試験合格者の目線で、「コロナ事情の中でも芸術活動はどこまで許されるか」といった、憲法論的な論点がどこまであるか…という点は意識して見に行ったところです。
(逆に言えば、「私が」この方の「積極的な」ファンではない以上、「ファンサービス映画」という解釈は、「私には」できない)
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(減点0.3) 2時間ほどの映画で、多くの方が触れている通り、初監督といった事情もあり、わかりにくい点や描写が抜けている(恋をしたいのかしたくないのか、趣旨がわからない男性が出るところ等)のは事実です。ただ、何がなんだかわからないという点はないし、お話自体は架空としても「コロナ事情で芸術活動はどこまでできるか」という論点それ自体は史実として実際に現在(2022年2月)も存在し、この点について触れられていた点は評価は高いです。
一方で、明らかに犯罪行為を助長しかねない点もあり(「武器」らしきものを持っていくシーンや、不法侵入を想定できるシーン)、これらの点のサポートがない状況です。
少なくともコロナ事情も2年になり、大学1年で入った方は今はもう3年生になっているという状況です。もちろん地方によっては実際にやっている(=オンライン授業ではない、という意味)学校もありますが、ほぼすべての大学、高校で事実上、オンライン授業になっているのが実情でもあります(換言すれば、入学式と卒業式と、最低限どうしても出ないといけない授業以外は、オンラインになっている)。
その中で、いくら学生証など身分が明らかであっても、武器を携帯したり、それら施設に勝手に入るのは、やはり法律的にはまずいです(もっとも、せいぜい厳重注意程度にしかならない)。
(減点0.1) 要は、本映画の趣旨は、「監督の応援枠ではない」という観点では、「コロナ事情で芸術活動などはどこまで許されるか、均衡関係をどう取るか」という問題提起、そこにつきます(憲法21条(表現・集会の自由)、22条1項(国内移動の自由))。
リアル日本でも、コロナ事情で緊急事態宣言であった時でもこれらは制限されておらず(事実、マスク反対だの宣言反対だのの集会自体は、何ら規制されていない。これを規制すると憲法論になってしまう)、それは映画内でも同じです。
ただ、映画の趣旨的に、特に「コロナ事情と芸大生(美大生)の芸術活動の、政策と活動の均衡」という観点があるのは明らかで、その部分は存在はするものの、その問題提起は足りていないように思えます(ある程度は読めますが…)。
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結局のところ、「コロナ問題の中での美術芸術活動の在り方」という論点か、「のんさんの応援枠」という観点で見るか、それ以外なら、上記の論点で見るだろうというところで(多分、それ以外の論点ってないと思う…)、そうであれば3番目の観点で見たときの感想です。
初めての監督とのことですが、確かにわかりにくい点、ストーリーが追いかけにくい点などあることはありますが、意味不明なこともないし、上記のように明確な問題提起はないものの、「コロナ問題での芸術活動の在り方」という、およそ他の映画でやらないような題材を扱っている、それ自体は事実で、これらに興味があれば一押しかな、とは思えます。