劇場公開日 2022年2月11日

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「Wikipedia読んでるような作品でした。」ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ バリカタさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0Wikipedia読んでるような作品でした。

2022年2月19日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

アメリカ対ビリー・ホリデイ。興味深い掘り下げ方ですよね。ビリーホリデイについては曲を知っていましたが、個人については以前観たドキュメント映画の中で紹介されていた内容程度の認識です。ドキュメント観た後にも「どうしてこの人はこうなのかなぁ?」って思ってましたから、その理由を知りたかったのと、政府とどんな対峙があったのか?すごく興味がありましたから鑑賞です。

とにもかくにも主演のアンドラ・デイが素晴らしかったですね。多分本人の歌声なんでしょうが、なんとも染み入る歌声です。いいですねー。この方の演技だけでも満足感あるかもしれません。ただそこまでだったかなぁ・・・残念ですが。

どうにもビリー・ホリデイの心根が見えないんですよね。悲しく辛い幼少期があるのはわかるし、かなりトンデモ男ばかりとくっついちゃう事実も知ってます。けど、どうも彼女の行動と心情がリンクできないので「勝手でわがままな自己中心的な人」にしか見えないのです。だからこそ、そんな彼女が「奇妙な果実」を歌い続けようって思う動機付け見えてこないし、劇中で描かれる動機があまりにもチープに見えてしまうのです。きっと脚色なんでしょうが、かなり安易に見えるのです。それが果たして合衆国を相手どる覚悟が生まれるのだろうか・・・?と。わからん・・・。

また、彼女の数奇な人生を描くのがなんのために描いているのか?そこが対合衆国のドラマに繋がらなければならないと思うのですが、その辺りのダイナミックな展開がなく、こんな人でした、こんなことがありました、その後こうなったんです・・・というネットで拾える情報を繋げただけって感じのドラマしかないのでかなり残念なのです。合衆国VSビリーホリデイを描くなら、もっと当時の政府の考え方や差別主義が色濃かった背景を前面に出すべきだったと思いますし、もっともっと国側の腹黒さ胡散臭さ、白人至上主義の歪さなどにフォーカスして描くべきだったのでは?そこにこそ描くべきテーマがあったのでは?って思います。

歌と演技は見事だったので3.0。物語はちと残念、期待してたんだけど。

バリカタ