「私たちのイミフ戦争」真夜中乙女戦争 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
私たちのイミフ戦争
う~ん…。何だこりゃ??
作品の意図がまるで分からなかった。
これが若者から圧倒的な支持を得ている小説…?
単に私の理解力が無いだけか…?
友達も恋人もおらず、退屈な大学の講義や日々に飽き飽きしている“私”。
そんな時、“かくれんぼ同好会”で出会ったミステリアスな“先輩”、カリスマ性ある謎の“黒服”により、退屈だった“私”の日常は一変していく…。
“私”は現代若者の体現。居場所が無く、誰とも通じない。
人物名ではなく役名が“私”や“先輩”などなのも、見ている側が自分に置き換えられるからだろう。
何かを破壊したい。自分やこの世の中を。
悪戯を繰り返していた“黒服”らだが、“真夜中乙女戦争”なるある計画を知る。それは、クリスマスに決行する東京破壊計画…。
そんな中で“私”は“先輩”への想いを見出だし、彼女を救おうとするが…。
現代若者の心の彷徨×犯罪サスペンス×青春ラブストーリー。
…って感じだが、
だから何?
本当に作品が何を描きたいのか、何を伝えたいのか、話の意味自体もよく分からない。
分かりづらくもある。分かる人には分かるんだろうけど。
現代若者の複雑な内面を繊細かつ共感出来るように描いているように見えて、自分たちに酔っているようなリアリティーゼロの台詞、思考、言動。
企てる“真夜中乙女戦争”。どうせ口だけでお世辞にも大作ではないこの規模の邦画だからそんなシーンなんて描かれないと思っていたら、マジで決行、クライマックスは東京大爆破で、ある意味ブッ飛び!
そんな非常事態にも関わらず、“私”と“先輩”はそれを傍観しながら電話で愛を謳う。
これが“私”の望んだ破壊…? 単なるテロじゃん。さらには「生きて」って、ハァ!?
モブはいるけど、登場人物はほぼ3人。それがかえってこぢんまりとしてしまい、東京大破壊シーンでのパニック描写も無く、緊迫感はまるで皆無。
リアルにしたいのか、ファンタジーにしたいのか、それこそがミステリー。
“私”の東京タワーに恋焦がれるという設定も“??”。原作小説では活かされているんだろうけど…。
スタイリッシュな映像や音楽、センスはいい。
でも、ただそれだけ。作品自体に活きていない。雰囲気映画。
ほとんどの人は永瀬廉お目当てだろうが、池田エライザと柄本佑がいい。
柄本佑が放つ存在感。この年代にして、すでにもうクセ者の座を欲しいままにしている。
もし本作に池田エライザ不在だったら…。彼女のミステリアスな魅力と映える美貌のお陰で何とか最後まで見る事が出来た。
彼女がしっとりとジャズナンバーを歌うシーンは白眉。このシーンだけでも見れて良かった。
後は…。
私にはもうこの作品について何も語るべきものが無い。
劇中序盤で、“私”が退屈な大学の講義に費やす時間やお金の重要性を訴えるシーン。
私には本作が、まさにそれだった。