「いいのか?裕一!」そして僕は途方に暮れる humさんの映画レビュー(感想・評価)
いいのか?裕一!
荷物のまとめがはやいのなんのって、、、さすがずっと逃げてきただけある。笑ってしまうくらいだけど、裕一はいたって本気だ。
と、すれば…
本気の基準が基本的に甘えているってことになるのか。
だからまわりの流れに気がつかず繰り返す。
誰かにまかせて安心しているようなこどものようなおとな。
いや、こどもでも、もっと配慮できるかもだ。
何かのせいにしているわけでもないから、持ち前の不器用さみたいなものに気の毒にさえなるかんじもあり。
そして、裕一、どこか見捨てることができない何かも併せ持つ。
それはきっと
わざとじゃないからだな。と思う。
そう言えば、私。
わざとじゃないことは許してあげるんだよ。と、こどもがおとなになるまで事あるごとに言ってきたのを思い出した。
自分も含めて、わざとじゃなく失敗するのが人だと思うから。
でもやっぱり度合いがポイントなんだろう。
大のおとなとしては。
例えば、自分の夫や娘の彼氏、子供、孫が、裕一くらいの振る舞いだったら、やっぱりいやだわ〜。
許しにくいわー。姉さんがスパッと言い放つセリフ、言ってみたいわーと。
と、反感、共感を繰り返しながら不思議で複雑なきもちで見守った。
しっぺ返し的な事もある終盤。
親友のあの別れ際の爽やかであたたかな笑顔がリフレインする。
あー。つらいね。
つらいけど、親友にも彼女にも反論できない自分をこしらえてきたのは自分だ。
ラスト、夜景の東京をバックに何度か振り返る裕一の表情。
越えて、一皮むけたことを意味するのか。
それとも父譲りのパワーアップをみせるのか。
面白くなってきやがったじゃねぇか。は、どうやらこの先のようだ。
エンディングでの大沢誉志幸。
渋さを増した声は、カーステで聴いていた頃のもう少し高くせつない響きに勝手に変換しながら沁みてきた。
そのとき、若さが持つ独特な香りがした。
気のせいだけど、裕一が味わったほろにがさと一緒に。
今晩は。。
他のレビュアーさんからもコメントを頂きましたが、勿論違いますよ。
今作は、序盤は苛苛しながら観ていましたが、その後の展開と豊川悦司さんの完全に開き直った駄目駄目振りが面白くって。
脚本が良くて、それに応える俳優さんがいる映画は、当たり前ですが、良いモノだと思いましたね。では。