そして僕は途方に暮れるのレビュー・感想・評価
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意外に面白く、普遍的なことが描かれている
結局、最後は大好きな大沢誉志幸さんの曲が流れてきた。
曲から物語を思いついたのか、作品のタイトルを曲と被せたのかわからないが、タイトルはこの作品に似合っていることにしておこう。
物語全体を通して、一つ一つにオチのようにどんでん返しと結末がある。
そしてモチーフとなるのが「映画」という言葉。「ねじ巻き鳥クロニクル」の「シナモン」の型を使い、後輩の助監督がこの作品全体を作っているという構成なのだろう。
父と一緒に映画を見て、父は「ハッピーエンドで意外につまんなかったな」というあたりがこの作品そのものの脚本を主人公のユウイチが書き、映画にしたということだろう。
ゲス男の主人公は誰から見ても共感できないが、そういう人は少なからずいるのかもしれない。
ユウイチのしっちゃかめっちゃかな生き方と父の生き方は似ており、「逃げて逃げて逃げ続けろ」と言いながらも、人生のタイミングを教え、無理やり里美に電話させることがきっかけで、ユウイチが父と一緒に生活していることが皆に知れ渡ることになる。
父の言う「世間とかかわらない生活は囚人と同じだ」という言葉は非常に強い言葉で、ユウイチの感情を揺さぶる。
母が倒れ救急車に運ばれたという里美からの伝言も5日間も放置していたが、慌てて駆け付けようとする自分と「面倒くさい」と言った父を罵倒するほど、実際ユウイチの心は死んでいない。
心配で駆けつけてくれた里美と伸二。にもかかわらず一人で食事しようとするユウイチに、姉がキレた。
ユウイチはようやく謝ることができた。
いま俺変わろうとしているけど、どうしたらいいかわからない。自分の中で何が本当なのかわからない。何かしないといけない…
彼の言葉はよくわからないものの、彼なりに自分と真摯に向き合っていることが伝わってくる。
伸二が話した「ユウイチという人間の中の、ただの失敗」という言葉は、本当にその通りだと思った。
里美の態度も、彼を許している。東京、まだある戻る場所はある…
物語は一旦クライマックスを迎える。父の登場と4人で過ごす年越し。
そば二人、カップそば二人というのも面白い。
すべてハッピーエンドかと思われたが、美里は伸二と付き合っていた。
すべてはユウイチが原因だ。
後輩からの電話「先輩、どうなりましたか? 結末教えてください」
「まだ終わってない。面白くなってきやがった」
後輩に対し父の言葉を遣ってみた。
最後は冒頭のシーンと同じカットで終わる。 しかし表情は全然違う。逃げ隠れする目と退職的に挑戦する目になっている。
この「面白くなってきやがった」という言葉は、人生を変えていくための普遍的な強い言葉だ。
俺は人生に陥っているんじゃない。このピンチを楽しんでいるんだ。
嘘でもいいからこの言葉を遣うことで、必ずピンチをチャンスにできる。
この作品はクソ男で共感できず、結局やってしまったことのツケを支払わされるうえに、ひねくれたクロニクルで表現しているものの、この普遍性を強く描いている。
つまり見るべき点はその1点しかない。
藤ヶ谷さんはこんなにも良い役者だったのか
タイトルだけ見てWOWOWを録画しておいただけだったため、出演者情報もストーリーも全く知らないまま観た。
藤ヶ谷さんは歌番組やバラエティで見たことがあるくらいで演技のイメージがなく、最初本人だとは思わなかったほど、纏う雰囲気が違い驚いた。良い意味で全くアイドル的なものを感じることはなかった。勿論下手な人もいるが、最近は俳優専業より才能があっても、演技を見もせず穿った見方で見られ、評価を低くされているタレントも多いと感じる。藤ヶ谷さんももう少し評価されても良いのでは?逃げ続ける人生、程度はあれこういう人いるだろうなと感じさせるものだった。
中尾さん、野村さん、毎熊さんも安定して良い演技だった。特に中尾さんの役はとてつもなく良い親友といった感じだったが、最後もリアルだった。改めて上手いなと。
原田さんのリウマチを患った動きもわりとリアルで良かった。あまりこういう動きをする演技の作品は観たことがない。こちらが心配になり手伝いをしたくなる演技だったのも評価を上げるポイントとなった。患っているにも関わらず、夫だけでなく子供達にも離れられてしまった状況は、こういう親不孝な人間も現実にいると感じさせたが、最終的にあぁなってしまえば子供も逃げたくなるだろうと思った。とはいえ、病や孤独につけこまれる感じもリアルで苦しくなった。
普段1人で暮らしているとはいえ、無理しないでと言いつつ、雪の中暗い時間に体の不自由な母親1人に買い物に行かせる姉が怖かった。帰った時ぐらい手伝うか自分が行くかしない所が、姉弟揃って似た者同士で、そういう育ち方を母親がさせてしまった感じも痛々しかった。
それにしても豊川さんは流石。リアルに感じさせる説得力を出てきた瞬間に感じる。この父親にしてこの息子と感じさせた。涙の場面でぐっときて作品の評価を上げた。
父息子の部屋のシーン、ストーブが物と近く、酔っ払ったまま寝たら火事になりそうな気がするのも演出なのか?こういう人が火事を起こしそうだと感じて怖くなった。
前田さんはやはり演技がいまいち。華やかな役は似合わないとはいえ、他の人との演技力の差が出てしまう。もう少し出演時間の少ない役、重要な役柄ではない役にした方が良いのでは?
作品としては特別面白いわけではないが、こういう人間もいるという感じがリアルで飽きなかった。
周りも途方に暮れる‼️
藤ヶ谷太輔が前田敦子から逃げ出すシーンに始まり、藤ヶ谷太輔が前田敦子から再び逃げ出すシーンで終わる映画‼️主人公の裕一はジコチューで周りの迷惑も考えず、自分の都合が悪くなると逃げ出してばかりのダメな奴‼️親友、バイト先の先輩、姉、母、そして音信不通だった父など、あらゆる人間関係から逃げ続ける裕一の中で変化が起こり、自分を見つめ直そうとした時、親友と恋人がくっついてしまうという最悪の事態に。これから彼はどう生きていくのだろう・・・⁉️主人公にはまったく共感出来ないが、この共感出来ないキャラが様々な人間関係の中で変化し、新たなスタートラインに立つ映画‼️先はどうなるか分からんけど。役者陣は皆様素晴らしい好演‼️
香里奈は美人
『何者』のような大仕掛けな演出はなかったが、面白かった。
主人公は紛れもないクズだが、あんなオチが待っていては途方に暮れても仕方がない。
そしてその主人公を上回るクズっぷりのトヨエツ親父がいい味出してた。
あと香里奈はやっぱり美人だなー。
唯一
確かに途方に暮れていた主人公。
でも不思議と主人公がクズには見えずモヤモヤしながら観ていた。
それに、この映画は奇跡的に家族が揃うホームドラマです。その後に、ある場所で一緒に座る親子2人に父親が言う一言が、唯一クズだなぁ〜とモヤモヤが解消された瞬間でした。
藤ヶ谷太輔のなかなかのくずっぷりがよかった。 かなり図々しい性格で...
藤ヶ谷太輔のなかなかのくずっぷりがよかった。
かなり図々しい性格でありながら、それを責められると逃げ出して関係を断ってしまう。
息子から連絡があった時の母親の嬉しそうな反応は涙を誘うが、その母親は妙な宗教にはまっていたというオチがつく。
父親のトヨエツは単なるクズオヤジではなく、それなりに男気を見せたのはよかった。
また、ラストも単なるハッピーエンドではなく、そうきたかという展開も味があった。
「おもしろくなってきやがったぜ」というセリフ、私も使ってみたい。
切なくも滑稽なフリーターの生き様
僕は途方に暮れているのではない。
僕は逃げ回っているのでもない。
たまたまそうなっているだけ。
人のためになりたい。でも、実態は自分のことだけ。
友人は言う。「おまえの行動は、数ある監督作品の中の、たまたまの失敗作だ」と。
僕はますます自分がわからなくなる。
守ってくれるのは家族だけ。そうとも思える。
が、しかし、僕は僕なりに生きていくしかない。
僕を演じる、無表情の藤ヶ谷太輔のキャラが際立つ。
切なくも滑稽なフリーターの生き様を、無意識のままに演じきっている。
エンディングで大沢誉志幸が歌う、「そして僕は途方に暮れる」。
その奇妙なアレンジが、藤ヶ谷のキャラと見事にマッチして余韻が残る
逃げて、逃げて、逃げまわる男の物語。
嫌なこと、自分に都合の悪いことがあると、すぐにその場から逃げる、
というどうしようもないダメ男を描いた物語。舞台劇の映画化だそうですが、
そこそこおもしろかった。ただ、このダメ男にイライラしながら見てたこともあり、
ちょっとなかだるみしました。もう少しコンパクトにしても
よかったんじゃないかな。脇を固めている役者さんの力が大きいですね。
豊川さん、原田さん、さすがの演技だな。この二人が、映画のクオリティを
ググッとあげている気がしました。
三浦作品の中では
ジャニーズだから主人公のイメージを堕落しきれないのかなというほど、普通で退屈だった。
もっと落ちに落ちる主人公こそが三浦作品の醍醐味だと思う。舞台との違いはどれぐらいあるのか、舞台をみておきたかった。
家族再生の物語
この映画は家族再生の物語です。
家族がぶつかり合って家族らしくなっていきます。しっかりしたお姉さん役をした香里奈さん、お母さん役の原田美枝子さん、お父さん役の豊川悦司さん、友達役の中尾明慶さん、バイト先の先輩の毎熊克哉さん、どの方も素晴らしいキャストでした。久々に良い映画を観ました。この映画を製作した監督と関係者のみなさまに深く感謝申し上げます。ありがとうございました。
こりゃあ、面白くなってきやがったぜ‼️
凄く感情移入して見入りました。けれど、
なぜ裕一がこんなにもクズなのか?
情報が足りないから判断に困る。
大学は卒業しているのか?
サラリーマン経験はあるのか?
今は単に夢の途中の充電期間なのか?
時代(コロナ禍期間?もっと前?)
裕一には挫折体験及び、失敗体験があるのか?
(ありそうだな・・・)
裕一はクチが達者でないのはよく分かった。
頭の回転を及びに応用は効かないタイプ?
多分、両方だろうな?
もっと分からないのが母親(原田美枝子)。
母親はリュウマチだから?離婚したことから?
裕一に負い目でもあるのか?
なぜこんなにも下手に出る?
(オレオレ詐欺にあって大金騙されたとか?)
(負い目がなければ変だよ!!)
恋人・里美は電球さえ交換してくれない男と暮らして
なにか得なことがあるのか?
私は思った。
12月31日(大晦日)
苫小牧の駅前で裕一(藤ヶ谷太輔)が里美(前田敦子)と、
ばったり出合う。
そこに親友の伸二が「里美と待ち合わせた」と、現れる。
ここでもう里美と伸二は恋人関係にあるな?とピンときた。
それを気づかない裕一は鈍すぎるのだ。
コロナ禍が終わった今。
仕事なんてどこも人手不足で引く手あまただ。
フルタイムで働く気がない。
本気で働かなくても生きていける。
そういう状況を作っていた女たちが悪い。
姉(香里奈}が、裕一の母にせびった金を立て替えてた???
何故そんな甘やかしたことをする?
里美にしたって生活費も払わない。家事もしない。
そんな男でも一緒に居たいのか?
まるで分からない。
努力しろ!!頑張れ!!働け!!
それしか言えない。
ホストだってNo. 1になるために裕一より知恵も働かせて
努力してるわ!!
自衛官、警察官、介護士、ホテルマン、運送ドライバー、引越しセンター、
なんでもいい。働いてから文句言え!!
クチが達者でないなら身体を動かせ!!
自衛官とかどの仕事も、採用はされても継続が難しい。
乗り越えるしかない。
ダメなら転職!!転職は意外とプラスになる。
ところでラスト。
これは映画の中、撮影中?
なんか心配して損した!
(でもリアルに自分探しと怠惰で、年老いてる
(引きこもりの中高年を何人も知ってる)
言いたくないけれど、たがが緩んでる。
ネジが一本欠けているのかも!?
そんな裕一を現実感たっぷりに演じた藤ヶ谷太輔。
おぬし、やるな!!
「こりゃあ、面白くなって来たぜ!!」
が口癖の父親役の豊川悦司。
リュウマチの演技が上手過ぎの原田美枝子。
2人は役者が何枚も上!!
若手はまだまだ修行が足りない・・・奮起‼️
たった主要キャスト6人の映画。
脚本・会話が面白かった。
所作に共感皆無も好展開
2023年劇場鑑賞4本目 秀作 68点
とにかく人間からも現実からも逃避行を繰り返す、なるべくして生まれた救いようもないモンスターのお話
ストーリの起伏やまとまりが良く十分楽しめた印象で、藤ヶ谷くんが同棲している前田敦子との些細な出来事で軽蔑し堪えられずその場を後にする。
その後も藤ヶ谷くん自身は認識していない失礼だったり無礼な所作に対して次第に住人が苛立ち、その後の態度に向き合えず居心地が悪くなると直ぐまた逃げるを数回繰り返す。
実家に帰ると母が宗教か何かに遂行している事実にショックを受けまた逃げ、後輩にもバイト先の先輩や大学の後輩、唯一の友達や姉にも見捨てられ、頼る人がいなくなった時に同じ様に家族から逃げた暫くぶりの父と出会う。
そこから自分と現実に向き合う様になり、やるせないけどどうしようも無い自身の資質に周りも一定の反省のポーズに関心し、そんな彼に向き合おうとしますが、最後に更生仕掛けた彼をまたも元のレールに引き摺り込む出来事で終焉。
思い返してみるとやっぱり良くできている印象でした
是非
『そして僕は途方に暮れる』鑑賞。書き連ねたセリフより魂の叫びを。序...
『そして僕は途方に暮れる』鑑賞。書き連ねたセリフより魂の叫びを。序盤、1mmも感情移入出来るか!ってなってた主人公にあそこまで引っ張り込まれるとは。一筋縄ではいかない展開も◎ しかし藤ヶ谷くんとても良い役者だな。
人間なんてそんなもん。その瞬間瞬間を生きているんだから。
#前田敦子 さん
こういう役を演じると秀逸。
そして#藤ヶ谷太輔 さんのなんともナチュラルなクズっぷりがお見事だった。
ロードムービー的なタッチだけど
やたら人間臭い現実逃避のリアリティは
「最悪だなコイツ」とも思うが「なんとなく解るよな」とも思う。
そんな表裏一体な人生観って、誰もが心のどこかにある闇みたいなもんだと思う。
ここまでなまめかしくどうしようもない人生観を描いたのに、
ラストの展開が少しギュッと粗まとめしちゃった感じが、勿体無かった気もするなぁ。
しかし俳優としての藤ヶ谷さんには魅了されました
『逃げも正義』
#三浦大輔 監督
#中尾明慶 #野村周平 #毎熊克哉
#香里奈 #原田美枝子 #豊川悦司
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