鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎のレビュー・感想・評価
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「日本」の暗部を描いたエンタメ
制作発表時は複雑な気持ちだった。
鬼太郎は幼い頃から大好きな数少ないアニメだった。特に好きになったのは中学生の時始まった6期。とても古いコンテンツである筈なのに今を生きる「自分」に向けて作られている感覚を持てたのが嬉しかった。
だから、鬼太郎誕生の1950年代を舞台にすると知った時は嬉しさより寂しさが勝った。期待より不安が実際だった。そもそも「鬼太郎誕生」は「墓場鬼太郎」で既にやっているし、YouTubeで無料公開されてるし、僕は4度か5度観た。十分に面白い。それを今更作り直すのは必要なことなのか?と、厄介なファンとして心配していた。
公開時期が北野武の「首」と被った上に、一応受験生ということもあって、中々「鬼太郎」を映画館で観に行く気にはならなかった。アニメ6期がアニメとして完成され過ぎていたから、それが映画になるイメージが出きないが故の不安。1時間程度の中身しかない、上質なテレビアニメにしかならないと思っていた。
気が変わったのはネットニュースだった。「謎の口コミ大ヒット」。鬼太郎が半世紀以上前のコンテンツであることを考えると信じ難かった。が、6期のクオリティの高さを考えると信じられた。
そして、観に行ったから、自分にとって「今年を代表する映画となった。
評判通りの素晴らしいストーリーだった。閉じたコミュニティで公然と儀式的に行われる人間の「本能」。そして、そこで得られる快楽を古来から連綿と受け継がれる「個人のエゴを集団の最大公約数的幸福」に代える妙技で誤魔化す。それらが日本人にとって最も卑近で残酷な例えで表現されていた。これは日本人にしか通じない気がする。『「個人」と「集団」』『「理性」と「本能」』という二つの二項対立は今の我々と1950年代を繋げてしまう恐ろしい実際だ。
これらを感覚的に観ている人に感じさせるこの映画は本当に見に行ってよかったと思わせてくれた。6期と同じようにこの映画も今の「日本」で生きる僕たちが抱える「不満」「不安」を「怒り」に昇華させてくれる最高のエンタメだった。できるだけ多くの人に観てもらいたい。ぼくはこれが観れて本当に幸せだ。
追記:映像面で目を見張るものがあった。戦闘シーンのゲゲ郎の輪郭線が異常に細い。ちょっとびっくりするくらい細い。しかもその細い線が伸び縮みし、まるで俊敏な蛇だった。とても美しかった。中々観たことのない映像な気がする。日本の古い絵から着想を得ているのだろうか。お陰でテレビでやっている良アニメに比べ若干作画に力のない本作でも戦闘シーンだけは健闘している。あの細い線で繰り広げられる妖怪バトルは中々中毒性がある。書いてるうちにもう一度見てみたくなった。
評判通りの意外な佳作だった。前半はサスペンスとしてもホラーとしても...
評判通りの意外な佳作だった。前半はサスペンスとしてもホラーとしても、とても良い。後半は子供にも喜んでもらおうという配慮か、急に派手なアクションや皆の力を結集みたいなよくある絵になってしまうが…
それでも「ゴジラ-1.0」よりはかなり大人向けな内容。
何の情報も無く、なぜか妻と娘が2回も観に行ったのでなんでだろうと観...
何の情報も無く、なぜか妻と娘が2回も観に行ったのでなんでだろうと観に行く。
今年観た「ミステリと言う勿れ」や「犬神家の一族」「Villege」とか、相続問題や隔離社会でのサスペンスストーリーと千と千尋の神隠し的トンネル越えの別世界展開が重なりながらのスタート。凡庸と言えば凡庸である。しかし悪い妖怪と鬼太郎の戦いにワクワクしていた幼少時代とは異なり小生も大人になったので、妖怪(幽霊?)と言いつつ、なんか愛している人には冷静ではいられないし、気に入った奴は裏切れない、昔のアナログな人間関係(妖怪関係?)が根底にあって、それはエンディングにも繋がっていて心になじみ、一方で原作者の過酷な戦争体験や利権社会へのアンチテーゼを絡めての鬼太郎の誕生をそれなりに楽しんだのでした。
予想外の鬼太郎
鬼太郎大きくしたような昔のパパ、ゲゲ郎がかっこいい。
こんなクールキャラが目玉になったらあんな陽気なおやじになるのか。。?
予想せぬプロット、ストーリー
後半戦闘長めで、ちょいと睡眠不足だったもんだからややうとうと。。したら急に目玉と鬼太郎出てきて、肝心なシーン見逃したか!?と思ったらエンドロールで出てきて安心した。
貰えなかったけど入場特典の、親子ツーショットハガキ、いい仕事するなあと思った。
良くも悪くも人を選ぶ作品かな。
鬼太郎は自分がまだ小学生の頃、5期のシリーズと墓場鬼太郎がちょうど世代でそれ以前のシリーズもDVDでレンタルして観るほど好きな作品でした!それから自分が高校生になり、6期が始まりましたが、6期はちょろっとしか観ていませんでした。今回の鬼太郎の映画は一応6期の鬼太郎の目玉の親父がまだ人型だった時の話と言う事で、非常に興味深い内容になっていました!しかし全部観て思った事は、面白かった!と言うよりもなるほど!と言う感じで、多分自分の性格にはきっと合わなかったのでしょう、映画にも相性と言うものがあります。決して映画の完成度自体は悪くはなかったのですが、何か今ひとつ心に残るような映画ではなかったかな…先の展開が予想がつかないと言う意味ではかなり良かったです!良くも悪くも普通のアニメ映画だったと言うのが自分の感想となりますね!
ダークな世界観が見ごたえあり
猟奇的なシーンがあるためPG12のレーティングが設定されている。「ゲゲゲの鬼太郎」はこれまでに何度もアニメ化されているが、基本的には子供が見ても楽しめるヒーローアニメだった。唯一異色だったのは、原作者である水木しげるが貸し本時代に描いた漫画をアニメ化した「墓場鬼太郎」くらいであろうか。本作はその「墓場鬼太郎」以来のダークで重苦しいテイストの作品になっている。ある意味で非常に野心的な作品だと言える。
物語は哭倉(なぐら)村を取材する記者を起点に、過去の回想が展開されるという入れ子構造になっている。
戦後間もない頃、村で起こった龍賀一族の遺産を巡る争いと、その背後に隠された陰謀が、主人公・水木の視点によってミステリアスに紐解かれていく。個人的には横溝正史の世界観、特に「犬神家の一族」を連想した。
尚、水木はその名前や帰還兵という設定から、原作者である水木しげるをモデルにしているものと思われる。水木しげるは太平洋戦争で左腕を失ったが、本作の水木は左耳の一部が欠損している。おそらくこれも水木しげるのオマージュだろう。
本作はそんな水木が主人公であるが、もう一人。彼と数奇な運命で行動を共にする謎の男・ゲゲ郎の活躍も見所である。誰が見ても分かるだろうが、彼こそ鬼太郎の父親その人である。特に中盤からクライマックスにかけては水木を凌ぐほどの存在感で、ドラマ的にもゲゲ郎の方に比重が置かれていくようになっていく。
水木とゲゲ郎、夫々のドラマを同時に追いかけていくことで映画全体の作りに若干バランスの悪さが目立つが、原作者を投影したキャラと、原作者が創り上げたキャラクターが同じ土俵の中で共闘するというメタ的なアイディアは秀逸である。ある種”異色”のバディ・ム―ビーとして見れば、これは中々面白いと思った。
また、この物語では”血”というものが大きな意味を持っているような気がした。
龍賀一族の醜い争いは血縁ゆえの悲劇であるし、水木が出征した戦争では多くの兵士たちが無駄な血を流した。血の怨念と言えばいいだろうか。無慈悲に命を散らしていった彼らの鎮魂。それがこのドラマには底流しているような気がした。
一方で、タイトルの「鬼太郎誕生」が見事に結実するラストが示すように”血”は生命の源とも言える。これにはかすかな希望も感じられた。
戦場で負傷した水木しげるは輸血処置が出来ずに左腕を切断するに至ったということである。この話を知ると、この物語における”血”の意味は更に重いものに感じられる。
全体的に非常に重厚なドラマでそつなく作られていると感じたが、1点だけ気になる箇所があったので付記したい。
それは沙代の最期のシーンにおける水木の立ち回り方である。その後にゲゲ郎の妻を助けに行かなければならないという事情は分かるのだが、それにしても随分とアッサリとしている。沙代は正に本作の悲劇のヒロインであり、思わず同情してしまいたくなるほどだったが、ここはもう少しジックリと見せて欲しかった。水木はさぞかし胸を痛めたはずである。その失意も冷めやらぬまま決戦に突入してしまった…という印象を持った。
謎はまだ解けない
評判が良いと聞いたので劇場へ足を運んだ。昔、白黒テレビでやってた頃に比べると鬼太郎とかキャラクターも洗練され絵もジブリや鬼滅なみに綺麗になっていて驚いた。鬼滅のオマージュ的な場面もあったし。ただ前から思っていたが猫娘は綺麗になり過ぎだったかなと。それはそれで良いのだが。(どっちなんだい)
内容的には好きな部類でかなり楽しめた。墓場の鬼太郎の前段としては上出来だと思う。
なかなかの良作
原作厨としては、完全な人間の味方である幽霊族は邪道よりのグレーゾーンたるも、
懐かしのジャパニーズホラーや、横溝正史ミステリを彷彿させる世界観、
今風のクリーチャーデザインや、バトルアクションをかけ合わせた良作で、
理解のある旧ファンも、第六期からみたファンも見ておいて損はない作品とおもいます。
少しグロテスクなシーンがあり、ほんとに12歳以上で大丈夫?って思いますが、
それ以外は◎。
いままででたエピソード0的作品はあまり良くない作品が多いものの、本作はとても良いと感じました。
グッズが一つも売ってなかった
テレビアニメと原作の墓場鬼太郎は、小学生の頃に見ていました。映画は、画像やキャラが綺麗と思いました。しかし、金田一耕助シリーズのような仄暗さや悍ましい感じが沢山しました。もう少し、明るい幸せな終わり方だったら良かったのにと思いました。
テーマに家族愛人種差別反戦を感じました
エンドロール後にタイトルが出てきて、「うわぁ〜!始まった〜〜!!」と興奮しました。詳しいレビューは他の方に譲ります。
数あるミステリー物と比較して、本当に個人意見ですが伏線と回収がスッキリ分かりやすくて面白いです。アニメーションの動きが、これまで培ってきた技術総動員のように思えます。
皮肉にも、戦争があったからこそ素晴らしい作品がうまれるものですね……。(2023秋冬はなぜこうもWWⅡ関連が多いのか。)
失われていい種族って本当は無いはずと感じました。鑑賞後は興奮と同時に「お父ちゃんお母ちゃん……!!!!」という感情。そして、血気盛んによい国を作ろうとして作り上げた世代と現在のことを思うと言葉に出来ない感情が同時に現れます。
複数回観ると物語の理解と登場人物の心境や背景が分かりもっと面白いです。ありがとうゲゲゲの謎。
剛腕や気合
途中、ん?と思わせる箇所はあるけれど完全にもっていかれた。
105分という上映時間で、伝えたいメッセージを下敷きに娯楽作としての魅力を出しつつ、過去の映画作品を参考にしながら新しい価値を創造できている。
監督はじめスタッフたちの剛腕や気合のようなものを強く感じた。
いわゆる声優演技というものが好きではない。
かといって宮崎作品のように俳優・役者を並べるのもどうなんだと思っている。
そんな自分に、今作鬼太郎の父を演じた関俊彦はささった。
ふだんアニメをみている人間ではないので、こういう作品に出会えたことがうれしい。
先に見た人たちが話題にあげてくれたことに感謝したい。
鬼太郎に似た男の物語
これは鬼太郎映画ではない。ダーク調な作品。
鬼太郎に似た男と雑誌記者?(ちょっとうる覚え)のとある村での出来事ってだけの話。
結果的に目玉の親父の目玉だけになる前の鬼太郎風貌時の話なんだが。目玉だけの目玉親父との関連性がほぼほぼないから、ゲゲゲの鬼太郎感が全く無い映画になっている。
鬼太郎誕生の部分は最後のエンドロールでチラッとあるだけ。
本当に鬼太郎誕生の部分に時間を沢山使って丁寧に描いて欲しかった。
鬼太郎の母親と父親(目玉親父)の馴れ初め辺りも一辺倒な説明だけだったし。
もっと「ゲゲゲの鬼太郎」の世界観が欲しかった。
作中唯一絡んでいたのが子供時代のネズミ男だけ。
お馴染みの鬼太郎ファミリーの妖怪たちも登場すれば良いのに。
砂掛けババや子泣きジジイなんてさらっと登場させても良いのでは。何なら猫娘の両親とかの絡みとかあったら面白いのに。
鬼太郎の誕生感は殆ど無かった。
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久しぶりに映画館で鑑賞
鬼太郎映画を観る直前に「ゴジラ-1.0」を観た後での感想です。
鬼太郎映画でモヤモヤした後に「君たちはどう生きるか」を観たらもっとモヤモヤすることに。
1日3作はちと辛い。
5か4.5で迷う作品
目玉の親父がめちゃくちゃ活躍してます。数十年前、鬼太郎誕生の漫画を見たことがありますが、「こんなんだったけ」と少し戸惑いましたが、とてもいい映画に仕上がっています。何度も見るときっと一つ一つに意味がある事に気づくと思います。鬼太郎の若き日のお父さんの声は、関俊彦さんが担当しているので、鬼滅の刃の鬼舞辻󠄀無惨を思い出してしまいましたが、重厚でとても素晴らしい演技でした。声優さん達の技術に感服しました。
墓場とゲゲゲの最高の融合。鬼太郎史上最高の大傑作。
犬神家的な昭和の名家の相続を舞台。
犬神家的な昭和の闇、クトゥルフ神話TRPG的な知ってはいけない秘密に近づくスリル、墓場の鬼太郎の不気味さ、ゲゲゲの鬼太郎のヒーロー展開。そのすべてを味わえる傑作です。
まず昭和の闇を魅せるミステリーとサスペンスが凄い。そして妖怪が実にいいアクセントになっている。
キャラも素晴らしい。若き日の目玉の親父もかっこいいし、パートナーの水木もとてもいい。ヒロインの紗代もその他龍加一族もみんないい。
そこに秘められた謎もいいし、謎の明かされ方もとてもいい。クトゥルフ神話TRPGリスペクトを感じる。
そしてそれらの絶望の果に鬼太郎が誕生に繋がるのもいい。こうやって繋がるのかあととても感動した。
墓場の鬼太郎の不気味さを漂わせつつ、ゲゲゲの鬼太郎的ヒーロー展開で爽快感もある。唯一無二の作品だと思う。
いま鬼太郎が好きな人、昔鬼太郎が好きだった人、昭和サスペンスが好きな人、ホラーが好きな人は絶対見たほうがいいです。
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