「特にフックがない。サスペンス的勧善懲悪劇。」鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 コバヤシマルさんの映画レビュー(感想・評価)
特にフックがない。サスペンス的勧善懲悪劇。
内容は、水木しげる原作ゲゲゲの鬼太郎誕生の謎についての創作話。舞台は終戦後間もない隔離された村と有力者の一族跡目争いとゲゲロウ事鬼太郎父(名前は一体?!)と主人公水木との話。血液製剤Mとは?哭倉様とは?龍哭とは?狂骨とは?謎が謎を呼び閉ざされた村で生き残りをかけた悲劇の幕が上がる。
印象的な台詞は、『怨念を引き受けよう。我が子が生まれる世界ぢゃからな。それに友よ主が生きる未来この目でみとうなった。』ゲゲロウ事鬼太郎父の最後の決め台詞。物語の流れと思いが乖離されていて言葉遣いの違和感を感じた。水木と言ったり主と言ったり呼び方もまちまちで主格の定まる所が無いのが残念。ゲゲロウ最後まで名前無かったなあ。CV鬼太郎の父だったのは腑に落ちません。犬神家の一族の様に沢山人が出るので難しい上に余計に混乱する。
印象的な場面は、犬神家の一族の様な大広間での謁見の場面。畳の縁が白中紋を使っていたのが凄かった。細かすぎるが美術が凄い。しかし内容がある様で無いようなのが残念です。サスペンスの醍醐味の動機や理由が薄っぺらいのが勿体無いと感じました。
印象的な立場は、冒頭の終戦間もない東京と帝国血液銀行の社屋と不死薬Mの関係性が、そのままヒロポンや緑十字や関東給水軍731石井部隊の様で生々しくもリアルで洒落になりませんでした。
物語が、妖怪や物怪の類を主題とするだけに理屈が通るようで無茶苦茶過ぎて疲れました。人間族と幽霊族とは長田家と哭倉家と水木との複雑すぎる盛りすぎの内容を106分ではキツい気がしました。都合よく終わらせてしまい謎が尽きません。特に最後の怨念を引き受けようとの気分には1人で解決するご都合主義には不満募ります。全体に怖く見せようとする事に拘りすぎ脚本や演出に無理あり何が言いたかったのか分からない。最後のエンドロールだげでよかった様に感じました。