劇場公開日 2023年11月17日

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「あの鬼太郎を想像して子供に見せない方がいい」鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 maxwellderさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0あの鬼太郎を想像して子供に見せない方がいい

2023年12月17日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

ファンタジー要素の好きな奥さんにせがまれて見に行ったら、アラフィフオヤジが泣きそうになるくらい深い物語性に心を抉られてしまったのだ。

水木しげるの漫画を読んでいた世代としては感慨ひとしおであった。
鬼太郎が産まれるシーン、目玉の親父が誕生するシーンには、ああこれだよこれ、とひと安心である。
制作陣は相当に水木先生の作品を愛していらっしゃったことが伝わってきた。

舞台は昭和30年初頭、敗戦の臭いがまだ抜けきらない日本の田舎である。
それはもう過去の記憶というより、歴史という時代になりつつあるだろう。

醜い大人の欲望に導かれる結末は、ヒロインも子どもも救われないバッドエンドである。
主人公も深く傷つく最終決戦とエピローグには、なぜこんなことになってしまったのかを問わざるを得ない。

わしにとってこの映画は、鬼太郎が誕生すること、そして目玉の親父も令和に至ってまだ健在であることを知っていることが救いだった。

もし子供にせがまれたなら見せない方がいい。
そして、オヤジひとりで観に行きなさい。
劇場は若い女の子もたくさんいたが。

老若男女が、全く違う視点で楽しんで欲しい作品であるよ。
わしの奥さんには不評であった。

maxwellder
maxwellderさんのコメント
2023年12月19日

血液バンク事業とか、閉鎖的な村社会であるとか、家父長制度とか、タバコの煙で充満するオフィスだとか、忘れてしまえばいい過去が、若い世代には歴史として紡がれる。
しかしながらじじいの世代には記憶として思い出させるものがあろう。
団塊ジュニアにとってはオヤジお袋の記憶のリアルな世界観なのである。
そこはまさに水木ワールドなのさ。

maxwellder