「最後で弦の調律が甘いユダヤ受難曲」天才ヴァイオリニストと消えた旋律 シネマディクトさんの映画レビュー(感想・評価)
最後で弦の調律が甘いユダヤ受難曲
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コンサート直前に失踪した天才ヴァイオリニストを第二次大戦中、戦後、現代の三時代にまたがって追跡する音楽ミステリーです。お話しは時系列でなく、目まぐるしく三時代を行き来するのに、混乱せずストーリーにグイグイ引きつけられるのは、監督のフランソワ・ジラールの語り口の上手いところです。とは言え、またもやナチによるユダヤ受難もので、正直いい加減食傷気味です。原題の『名前の歌』の意味のインパクトは強いけど主人公が急に信仰を取り戻して、結果として恩人一家に恩を仇で返すのは身勝手で共感できません。そのため、胸にモヤモヤ感が残り、どうもすっきりしないのが残念。役者では、ティム・ロスがいい感じのフケ具合で、役柄の雰囲気にぴったりの好演だし、クライブ・オーウェンも暗い情熱が感じられ、違った顔が見られました。
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